事業者が,消費税法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に当たる。 (反対意見がある。)
事業者が帳簿及び請求書等を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合の消費税法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」該当性
消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの)30条1項,消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの)30条8項,消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの)30条9項,消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの)58条,消費税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)62条,消費税法30条7項,消費税法30条10項,消費税法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項
判旨
消費税法30条7項にいう帳簿等の「保存」とは、単なる物理的保管にとどまらず、税務職員による検査に当たり適時に提示可能な態勢で整理・保存することを指す。そのため、特段の理由なく税務調査での提示を拒み続けた場合は、帳簿等を保存しない場合に該当し、仕入税額控除は認められない。
問題の所在(論点)
消費税法30条7項に規定する仕入税額控除の要件としての帳簿等の「保存」とは、物理的な保管を指すのか、それとも税務調査への提示が可能な状態での保存を指すのか。正当な理由のない提示拒否が「保存しない場合」に該当するかが問題となる。
規範
消費税法30条1項の適用を受けるための同条7項に規定する帳簿等の「保存」とは、単に帳簿等を物理的に保管しているだけでは足りない。申告納税制度の趣旨及び仕組み並びに同項の趣旨に照らせば、適正な税務検査(法62条)が行えるよう、帳簿等を整理し、税務職員による検査に当たって「適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存すること」を要する。したがって、この態勢を整えていなかった場合には、災害その他やむを得ない事情(同項ただし書)を証明しない限り、仕入税額控除の規定は適用されない。
事件番号: 平成16(行ヒ)278 / 裁判年月日: 平成17年3月10日 / 結論: 棄却
青色申告の承認を受けた法人が,法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項に規定する帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由に該当す…
重要事実
上告人は、消費税の確定申告において仕入税額控除を適用した。その後、被上告人(税務当局)の職員が税務調査において適法に帳簿等の提示を求めたが、上告人はこれに応じ難い格別の理由がないにもかかわらず、提示を拒み続けた。税務当局は、帳簿等が「保存」されていないとして仕入税額控除を否認する更正処分等を行ったため、上告人がその取り消しを求めて提訴した。
あてはめ
上告人は、税務職員が適法に帳簿等の提示を求めた際、提示を拒むべき正当な理由がなかったにもかかわらず、これを拒み続けた。このような行為は、税務職員による検査に当たって「適時に提示することが可能なように態勢を整えて帳簿等を保存していた」とは評価できない。たとえ上告人が帳簿等を物理的に保管していたとしても、法が要求する「保存」の態勢を欠いている以上、実質的に帳簿等を保存しない場合に当たると解するのが相当である。
結論
上告人の行為は帳簿等を保存しない場合に該当するため、法30条1項の適用(仕入税額控除)は認められず、本件各処分は適法である。
実務上の射程
消費税の仕入税額控除における帳簿保存要件の厳格性を強調した判例である。答案上では、仕入税額控除の可否が問われる場面で「保存」の定義として引用する。単なる「保管」の事実だけでなく、税務調査への協力態勢という「提示可能性」まで含めた規範を立て、提示拒否等の事実関係がある場合には控除を否定する論理として活用する。
事件番号: 平成13(行ヒ)116 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: その他
事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合…
事件番号: 平成10(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成16年9月7日 / 結論: 破棄自判
会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益…
事件番号: 昭和62(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和63年3月31日 / 結論: 棄却
収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…