事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たる。
事業者が帳簿又は請求書等を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合の消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」該当性
消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条1項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条8項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条9項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条10項,消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの)58条,消費税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)62条,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項
判旨
消費税法30条7項にいう帳簿等の「保存」とは、単に所持しているだけではなく、税務職員による検査に当たり適時に提示可能な態勢を整えておくことを指す。特段の事情なく提示を拒否した場合は、同項の「保存しない場合」に該当し、仕入税額控除は認められない。
問題の所在(論点)
消費税法30条7項が仕入税額控除の要件として規定する帳簿等の「保存」の意義。具体的には、事業者が帳簿類を所持しながら税務職員への提示を拒否した場合、同項の「保存しない場合」に該当し、仕入税額控除が否定されるか。
規範
消費税法30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」とは、事業者が、施行令50条1項の定めに従い、所定の期間及び場所において、税務職員による検査(法62条)に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合をいう。災害その他やむを得ない事情(同項ただし書)を事業者が証明しない限り、仕入税額控除(同条1項)は適用されない。
事件番号: 平成16(行ヒ)278 / 裁判年月日: 平成17年3月10日 / 結論: 棄却
青色申告の承認を受けた法人が,法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項に規定する帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由に該当す…
重要事実
大工工事業を営む個人事業主である上告人は、消費税の確定申告を行わなかった。税務職員は調査のため、数回の日程調整を経て上告人宅を5回訪問し、帳簿書類の提示を求めた。上告人は、調査の求めに違法な点はなく、応じ難い正当な理由もないにもかかわらず、一部の領収書を提示したのみで、その余の帳簿書類の提示を拒絶し、調査に協力しなかった。そのため、税務署長は提示された領収書分以外の仕入税額控除を認めず、決定処分等を行った。
あてはめ
消費税法が帳簿の備付け・保存を義務付け(法58条)、罰則付きの検査権(法62条、68条)を設けているのは、申告納税方式の下で税務職員による検査を前提としているためである。本件において、上告人は税務職員からの適法な提示要求に対し、格別の理由なく大半の帳簿書類の提示を拒んでおり、適時に提示可能な態勢を整えて保存していたとはいえない。したがって、本件は法30条7項の「保存しない場合」に該当すると評価される。
結論
上告人は帳簿等を「保存」していたとは認められず、仕入税額控除は適用されない。本件各処分に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
仕入税額控除の適用の可否が争点となる事案において、帳簿の存在だけでなく「税務調査への協力態勢」という実質的側面が要件化されている点に射程がある。納税者が調査時に帳簿を隠匿・提示拒否した場合、事後の訴訟段階で帳簿を提出しても、本判決の規範に基づき、保存要件欠如を理由に控除が否定される強力な根拠となる。
事件番号: 平成16(行ヒ)37 / 裁判年月日: 平成16年12月20日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税…
事件番号: 平成12(行ヒ)126 / 裁判年月日: 平成17年2月1日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項に該当するとして,課税期間に係る基準期間において課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務を免除された場合に,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)9条2項,28条1項を適用して当該基準期間における課税売上高を算定するに当たっては,免除され…
事件番号: 昭和34(オ)973 / 裁判年月日: 昭和36年7月21日 / 結論: 破棄差戻
一 所得金額更正に関する審査請求の却下決定があつた場合でも、右却下が違法である場合には、右更正処分の取消を求める訴は審査の決定を経たものとして適法である。 二 審査請求書に証拠書類の添付がなく、これに対し補正を求めたにかかわらず補正をしなかつたからといつて、審査請求を却下することは違法である。
事件番号: 昭和34(オ)267 / 裁判年月日: 昭和35年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】納税者の帳簿が完備せず直接資料を欠く場合、後日の在庫高から過去の平均在庫高を推定して所得金額を算定する推計課税の方法も、合理的である限り適法である。 第1 事案の概要:上告人は、昭和24年度の所得金額について税務署長(被上告人)から更正処分を受けた。上告人の帳簿は不完備であり、正確な所得を直接把握…