青色申告の承認を受けた法人が,法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項に規定する帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由に該当する。
青色申告の承認を受けた法人が帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合の法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告承認の取消事由該当性
法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号,法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの)153条
判旨
税務職員の検査に対し、帳簿等を適時に提示可能な態勢で保存していなかった場合は、消費税法30条7項の「帳簿等を保存しない場合」および法人税法127条1項1号の青色申告取消事由に該当する。
問題の所在(論点)
1. 帳簿等を物理的に保管していても、税務調査での提示を拒否した場合、消費税法30条7項の「帳簿等を保存しない場合」に該当するか。 2. 同様の状況において、法人税法127条1項1号の青色申告取消事由である「帳簿書類の……保存が……定めるところに従つて行なわれていないとき」に該当するか。
規範
1. 消費税法30条7項にいう「帳簿等を保存」するとは、税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存することを要する。災害その他やむを得ない事情がない限り、提示拒絶は「保存しない場合」に該当する。 2. 法人税法126条1項の帳簿書類の保存義務も、税務職員による検査の円滑な実施を確保し、内容の真実性を確認できる態勢下での保存を求める趣旨を含む。したがって、適時に提示可能な態勢を整えていなかった場合は、同法127条1項1号の「帳簿書類の備付け、記録又は保存が……定めるところに従つて行なわれていないとき」に該当し、青色申告の承認取消事由となる。
事件番号: 平成13(行ヒ)116 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: その他
事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合…
重要事実
納税者(上告人)は、税務調査において、税理士の立会い不能や調査理由の開示不足、ビデオ撮影の停止要求への不満等を理由に、複数回にわたり帳簿書類の提示を拒否した。実際には帳簿等は保管されていたが、調査官が臨場した際やその後の電話・訪問による提示要請にも応じなかった。これに対し税務署長は、仕入税額控除を認めない更正処分および青色申告承認取消処分を行った。
あてはめ
1. 上告人は、税務職員から適法に帳簿等の提示を求められ、これに応じ難い格別の理由がないにもかかわらず提示を拒み続けた。これは、適時に提示可能な態勢を整えて保存していたとはいえず、消費税法30条7項の「保存しない場合」に該当する。 2. 青色申告制度は適正な申告を奨励する趣旨であり、検査の円滑な実施の確保が不可欠である。上告人が調査において提示を拒んだ事実は、検査に適時に提示可能な態勢を整えていたとは認められず、法人税法126条1項違反として、同法127条1項1号の取消事由に該当する。
結論
本件各処分に違法はなく、上告人の請求は棄却される。提示拒絶は実質的な「保存義務」違反を構成する。
実務上の射程
帳簿の物理的存否だけでなく「提示の可否」を保存義務の内容に含めた重要判例である。答案では、単なる帳簿の紛失だけでなく、理由なき調査拒否や提示拒絶が仕入税額控除の否認や青色取消に直結する論理として活用する。また「適時に提示可能な態勢」の有無を判断する際は、拒否の正当な理由の有無を検討する。
事件番号: 平成16(行ヒ)37 / 裁判年月日: 平成16年12月20日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税…
事件番号: 令和3(行ヒ)260 / 裁判年月日: 令和5年3月6日 / 結論: 破棄自判
事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記…
事件番号: 平成12(行ヒ)126 / 裁判年月日: 平成17年2月1日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項に該当するとして,課税期間に係る基準期間において課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務を免除された場合に,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)9条2項,28条1項を適用して当該基準期間における課税売上高を算定するに当たっては,免除され…
事件番号: 昭和34(オ)973 / 裁判年月日: 昭和36年7月21日 / 結論: 破棄差戻
一 所得金額更正に関する審査請求の却下決定があつた場合でも、右却下が違法である場合には、右更正処分の取消を求める訴は審査の決定を経たものとして適法である。 二 審査請求書に証拠書類の添付がなく、これに対し補正を求めたにかかわらず補正をしなかつたからといつて、審査請求を却下することは違法である。