収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
課税処分及び青色申告承認の取消処分に国税犯則取締法に基づく調査により収集された資料を利用することの許容性
国税通則法24条,法人税法127条,国税犯則取締法1条,国税犯則取締法2条
判旨
収税官吏が国税犯則取締法に基づき収集した資料を、課税庁が課税処分や青色申告承認取消処分の基礎として利用することは適法である。
問題の所在(論点)
国税犯則取締法に基づく犯則調査手続により収集された資料を、行政処分である課税処分や青色申告承認の取消処分の資料として転用・利用することの是非。
規範
収税官吏が犯則嫌疑者に対して行う国税犯則取締法に基づく調査(犯則調査)により収集された資料について、課税庁がこれを当該嫌疑者に対する課税処分、重加算税賦課決定、または青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許容される。
重要事実
収税官吏が、特定の犯則嫌疑者に対し、国税犯則取締法に基づき犯則調査を実施した。課税庁は、この調査によって得られた資料に基づき、当該嫌疑者に対して更正処分、重加算税の賦課決定、および青色申告承認の取消処分を行った。これに対し、上告人は、犯則調査資料を課税処分等に流用することは違法であると主張して、各処分の取消しを求めて争った。
事件番号: 平成10(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成16年9月7日 / 結論: 破棄自判
会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益…
あてはめ
本件において、収税官吏は国税犯則取締法という適法な根拠に基づき調査を行っている。課税庁がこの調査によって収集された資料に基づき更正処分や青色申告承認取消処分等を行ったことは、適法な調査により得られた客観的事実に基づき適正な課税を実現しようとするものであり、法の目的に反するものではない。したがって、当該資料の利用には何ら違法な点は認められない。
結論
課税庁が犯則調査資料を課税処分等に利用することは許される。したがって、本件各処分は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
犯則調査と税務調査の峻別が問題となる場面で、犯則調査の結果が課税処分に流用できることを明示した判例である。答案上では、行政調査の成果を別目的の行政処分に利用する際の許容性(目的外利用の可否)を検討する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…
事件番号: 昭和40(行ツ)5 / 裁判年月日: 昭和47年3月31日 / 結論: 棄却
法人税青色申告についてした再更正処分の通知書に、その理由として、「借地権計上洩金三三〇万円」等と記載されており、また、その再調査請求棄却決定の通知書に、その理由として「(株)B工業所並びに(株)Gはともに同族会社であり、資産の譲渡による行為計算は同族会社の行為計算否認に該当するとした当初の処分は相当であり、計算過程によ…
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…