金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対し金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号を適用することは、憲法21条1項に違反しない。 (反対意見がある。)
金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対する金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号の適用と憲法21条1項
憲法21条1項、金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号
判旨
庁舎内広場での示威行為を禁止する規則は、行政の外見上の政治的中立性を損ない公務の円滑な遂行を妨げる支障を避ける目的において合理的であり、集会の自由を不当に侵害しない。
問題の所在(論点)
市庁舎前広場における特定の政策等の示威行為を禁止する規定が、憲法21条1項(集会の自由)に違反するか。また、庁舎管理権に基づく不許可処分の適法性。
規範
集会の自由に対する制限の合憲性は、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容・性質、具体的制限の態様・程度を較量して決する。特に庁舎は主に公務の用に供する施設であり、道路や公園等の公共用物とは性格が異なる。公務の中核を担う庁舎等で政治的示威行為が行われると、行政が特定立場を利しているとの外観が生じ、外見上の政治的中立性への疑義から公務の円滑な遂行が確保されなくなる支障が生じ得る。この支障を防止する目的は正当であり、制限が公務の用に供される庁舎等に限定され、代替施設があるならば、その制限は必要かつ合理的な範囲内として合憲である。
重要事実
金沢市長は、市庁舎に隣接する本件広場における憲法擁護目的の集会に対し、庁舎管理規則に基づき不許可処分とした。本件規則は「特定の政策、主義又は意見に賛成・反対する目的での示威行為」を禁止していた。本件広場は壁や塀がなく道路に接し、過去には原水爆禁止集会や護憲集会に許可が与えられた実績もあったが、建物敷地の一部として一体的に管理されていた。
あてはめ
本件広場は本庁舎の敷地の一部であり、公務の場と一体的に管理されている。ここで政治的な対立のある論点について示威行為が行われれば、市が特定立場を利しているとの外観が生じ、行政に対する住民の信頼を損なう具体的支障が生じ得る。この支障は条件付許可等では回避が困難である。他方で、規制は庁舎等での示威行為に限定されており、本来の集会施設(市民会館等)の利用は妨げられていないから、制限の程度は限定的である。広場が開放的な形状であり、過去に利用実績があるとしても、庁舎等の一部としての性格は変容しない。
結論
本件規定を本件広場での集会に適用することは、憲法21条1項に違反せず、本件不許可処分は適法である。
実務上の射程
パブリック・フォーラム(公園・道路等)と庁舎(公用物)を明確に区別し、庁舎においては「外見上の政治的中立性」という抽象的な法益に基づく規制を広く認めた。庁舎敷地内の広場については、道路等に類する性格が強くても、庁舎の一部である限り管理権が優先される傾向にある。
事件番号: 令和3(行ツ)54 / 裁判年月日: 令和4年2月15日 / 結論: 棄却
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない。
事件番号: 昭和27(オ)1150 / 裁判年月日: 昭和28年12月23日 / 結論: 棄却
昭和二七年五月一日のメーデーのための皇居外苑使用不許可処分の取消を求める訴は、右期日の経過により判決を求める法律上の利益を喪失する。