昭和二七年五月一日のメーデーのための皇居外苑使用不許可処分の取消を求める訴は、右期日の経過により判決を求める法律上の利益を喪失する。
公園使用不許可処分の取消を求める訴の使用すべき日経過後における判決を求める法律上の利益
行政事件訴訟特例法1条,民訴法第2編第1章第1節訴
判旨
公共福祉用財産の管理者は、その財産の目的、規模、施設を勘案し、その使命を達成するよう適正に管理権を行使すべきであり、単なる自由裁量に属するものではない。皇居外苑での集会不許可処分は、財産の損傷防止や一般利用の確保を目的とした適正な管理権の行使といえ、憲法21条等に違反しない。
問題の所在(論点)
公共福祉用財産(皇居外苑)の管理者の管理権行使に基づく使用不許可処分の裁量の有無と、その行使が表現の自由(憲法21条)を侵害し違憲・違法となるか。
規範
公共福祉用財産の利用の許否は、管理者の単なる自由裁量に属するものではない。管理者は、当該財産の種類、規模、施設を勘案し、その公共福祉用財産としての使命を十分達成せしめるよう適正に管理権を行使すべきである。管理権の行使を誤り国民の利用を妨げる場合は違法となる。また、管理権の行使が実質的に表現の自由等を制限することを目的とする場合や、適正な行使を誤り実質的に基本的人権を侵害した場合には、違憲の問題が生じ得る。
重要事実
上告人は、昭和27年5月1日のメーデーのため皇居外苑全域の使用許可を申請したが、厚生大臣(当時)はこれを不許可とした。その理由は、参加予定人員が約50万人と膨大で収容能力を超えており、立入禁止区域の損壊が予想されること、及び一般国民の公園利用が長時間阻害されることであった。上告人は、本件不許可処分が表現の自由(憲法21条)等を侵害し違憲・違法であるとして取消しを求めた。
事件番号: 昭和26(オ)853 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者に対する公衆浴場営業許可処分は、上告人の居住の自由を侵害するものではなく、憲法違反の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、第三者に対してなされた公衆浴場営業許可処分の取消しを求めた。上告人は、当該許可処分が自己の居住の自由を侵害し、憲法に違反するものであると主張して…
あてはめ
皇居外苑は旧皇室苑地の特殊性を持ちつつ、現在は国民の散策等に供される公園としての使命を有する。本件申請は収容能力の2倍にあたる50万人の参加を予定しており、許可すれば公園自体の著しい損壊が不可避であった。また、長時間にわたり一般国民の本来の利用を全く阻害することになる。これらを考慮すると、本件処分は公園の使命達成を目的とした適正な管理権の運用であり、単なる自由裁量や表現の自由を制限する目的によるものではない。したがって、実質的な人権侵害も認められない。
結論
本件不許可処分は、適正な管理権の範囲内で行われたものであり、憲法21条、28条に違反せず、違法でもない。ただし、所期の日時を経過したことにより、取消判決を求める法律上の利益は失われている。
実務上の射程
「パブリック・フォーラム論」が確立する前の古い判例であるが、公の施設の利用制限に関する判断枠組みとして、管理権の目的外行使(人権制限目的)を否定する論法が参考になる。現代の答案では、本判例を前提としつつも、より厳格な比例原則(他に適当な場所があるか、手段が不可欠か等)を加えて構成するのが一般的である。
事件番号: 昭和27(オ)533 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁による「承認」が、国民の権利義務を直接的に形成し、またはその範囲を確定する効果を有しない場合には、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、行政庁が行った特定の「承認」について、その違法を理由に取消訴訟を提起した。しかし、当該承認行為が国民の…
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。