大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない。
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条と憲法21条1項
憲法21条1項,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)5条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)6条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)7条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)8条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)9条,大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)10条
判旨
本件条例の規定は、過激で悪質性の高い差別的言動の抑止という合理的かつ正当な目的を有し、制限の態様も事後的な措置にとどまる。したがって、表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度といえ、憲法21条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
ヘイトスピーチを定義し、拡散防止措置や氏名公表を規定する本件条例の各規定は、憲法21条1項の保障する表現の自由を侵害し、違憲とならないか。
規範
表現の自由は民主主義社会を基礎付ける重要な権利であるが、無制限ではなく、公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受ける。制限が是認されるかは、(1)目的のために制限が必要とされる程度と、(2)制限される自由の内容・性質、(3)具体的な制限の態様・程度を較量して判断する。また、規制基準が通常の判断能力を有する一般人の理解において適用範囲が判断可能であれば、明確性の原則に反せず、過度に広汎な規制ともいえない。
重要事実
事件番号: 平成29(行ヒ)226 / 裁判年月日: 平成30年11月6日 / 結論: 破棄自判
1 普通地方公共団体の財産の譲渡又は貸付けが適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決がされた場合であっても,当該譲渡等の対価に加えてそれが適正であるか否かを判定するために参照すべき価格が提示され,両者の間に大きなかい離があることを踏まえつつ当該譲渡等を行う必要性と妥当性について審議がされた上で…
大阪市は、特定人等の社会的排除や憎悪の扇動等を目的とし、侮蔑や脅威を感じさせる表現活動(条例ヘイトスピーチ)に対し、市長が拡散防止措置や氏名の公表等を行う条例を制定した。市内では特定の民族を排斥し、生命・身体に危害を加える過激な街宣活動が頻繁に行われていた背景があった。住民らは、本件各規定が表現の自由を侵害し憲法21条1項等に違反すると主張し、審査会委員への報酬支出等の差止を求めて住民訴訟を提起した。
あてはめ
(1)目的:過激で悪質性の高い差別的言動の抑止であり、市民の人権擁護と社会の平穏維持のため合理的で正当である。(2)内容・性質:制限対象は、不当な目的で行われ、特定人等への侮蔑や脅威を伴う悪質な表現に限定されている。(3)態様・程度:市長による看板撤去やネット削除の「要請」及び「公表」という事後的な措置に止まり、法的強制力や制裁を伴わない。以上より、本件制限は合理的で必要やむを得ない限度といえる。また、定義規定は文理及び趣旨から基準が読み取れるため、明確性も欠かない。
結論
本件各規定は、憲法21条1項に違反しない。
実務上の射程
ヘイトスピーチ規制の合憲性を初めて認めた最高裁判例である。表現の自由を制約する基準として「目的と手段の均衡(較量)」という従来の枠組みを用いつつ、非権力的な「事後的措置」であることを重視して合憲性を肯定している。答案では、規制の対象が「悪質な差別的言動」に限定されている点と、措置が「勧告・公表」等で制裁を伴わない点を「必要やむを得ない限度」のあてはめで活用すべきである。
事件番号: 平成16(行ヒ)312 / 裁判年月日: 平成18年4月25日 / 結論: 破棄自判
市の施行する予定の土地区画整理事業は違法であると主張し,市作成の平成13年度一般会計歳入歳出決算書の抜粋等を添付して,同年度に同事業のために支出された公金を市に返還し,今後もこのような不当,違法な事業に対し公金を支出しないよう適切な措置を求める旨の住民監査請求につき,1 上記事業にかかわる公金の支出を全体として一体とみ…
事件番号: 平成29(行ヒ)185 / 裁判年月日: 平成30年10月23日 / 結論: 破棄自判
市が,その経営する競艇事業に関して,競艇場に近接する水面に漁業権の設定を受けている漁業協同組合に対し公有水面使用協力費を支出したことが違法であるとして提起された住民訴訟の係属中に,その請求に係る当該支出を行った公営企業の管理者に対する損害賠償請求権及び上記組合に対する不当利得返還請求権を放棄する旨の市議会の議決がされた…
事件番号: 平成21(行ヒ)162 / 裁判年月日: 平成21年12月17日 / 結論: 破棄自判
市が土地開発公社に対し土地の先行取得を委託する契約が,私法上無効とはいえず,また市にその取消権又は解除権があるとはいえないものの,著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合であっても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,客観的にみて市が上記委託契約を解消すること…