破産管財人が、別除権の目的である不動産の受戻しについて上記別除権を有する者との間で交渉し、又は、上記不動産につき権利の放棄をする前後に上記の者に対してその旨を通知するに際し、上記の者に対して破産者を債務者とする上記別除権に係る担保権の被担保債権についての債務の承認をしたときは、その承認は上記被担保債権の消滅時効を中断する効力を有する。
破産管財人が別除権の目的である不動産の受戻しについて上記別除権を有する者との間で交渉し又は上記不動産につき権利の放棄をする前後に上記の者に対してその旨を通知するに際し、上記の者に対して破産者を債務者とする上記別除権に係る担保権の被担保債権についての債務の承認をしたときに、その承認は上記被担保債権の消滅時効を中断する効力を有するか
民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)147条3号、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)156条、民法152条、破産法78条1項
判旨
破産管財人が、別除権の目的である不動産の受戻し交渉や権利放棄の通知に際して、別除権者に対し被担保債権の存在を承認したときは、当該承認は消滅時効を中断(更新)する効力を有する。
問題の所在(論点)
破産管財人には債務の承認をする権限が認められるか。具体的には、破産管財人が別除権者に対して行った被担保債権の承認が、民法147条3号(現152条1項)の債務の承認として時効中断の効力を有するか。
規範
債務者以外の者がした債務の承認により時効中断(更新)の効力が生ずるためには、その者が債務者の財産を処分する権限を有することまでは不要であるが、これを管理する権限を有することを要する(民法156条参照)。破産管財人は破産財団に属する財産の管理処分権限を有しており(破産法78条1項)、別除権の目的物に関する受戻し交渉や放棄通知は職務遂行の範囲内であるから、これに際してなされた被担保債権の承認は、時効中断の効力を有する管理権限に基づく行為といえる。
事件番号: 令和5(許)9 / 裁判年月日: 令和5年10月6日 / 結論: 破棄差戻
1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部…
重要事実
抗告人は、所有不動産に相手方の根抵当権を設定し、その後期限の利益を喪失した。抗告人が破産手続開始決定を受けたことにより根抵当権の元本が確定し、破産管財人が選任された。破産管財人は、相手方との間で本件不動産の受戻しについて交渉(本件交渉)を行い、さらに破産財団から放棄する旨の事前通知および放棄通知を行った。管財人は、これらの交渉および通知に際して、相手方に対し本件被担保債権が存在する旨の認識を表示(承認)した。その後、抗告人は破産手続廃止決定を受け、相手方が根抵当権を実行したため、抗告人は被担保債権の時効消滅を主張して競売停止等を申し立てた。
あてはめ
破産管財人は、破産法78条1項に基づき破産財団に属する財産の管理処分権限を有しており、その権限は破産法44条に照らし、財産を引当てとする債務にも及び得る。本件における不動産の受戻し交渉(同法78条2項14号)や権利放棄(同項12号)は、いずれも管財人の職務遂行として行われるものである。これらの職務遂行に際し、別除権に係る被担保債権の承認を行うことは、職務遂行上想定される範囲内であり、財産を管理する権限に基づく行為と認められる。したがって、本件破産管財人が本件交渉等の際に行った認識の表示は、適法な債務の承認に該当する。
結論
破産管財人による承認は時効中断(更新)の効力を有するため、被担保債権は時効消滅しておらず、根抵当権の実行を阻止することはできない。
実務上の射程
破産手続中に管財人が別除権者と接触して行う債務の確認行為に時効更新の効力を認めた。管財人の管理権限を基礎としているため、職務と無関係な承認については慎重に検討すべきだが、別除権目的物の処理という通常の管財業務に付随する限り、広範に中断効を認める実務指針となる。
事件番号: 平成10(許)8 / 裁判年月日: 平成11年4月16日 / 結論: 棄却
債権を目的とする質権の設定者は,質権者の同意があるなどの特段の事情のない限り,当該債権に基づきその債務者に対して破産の申立てをすることはできない。
事件番号: 令和4(許)13 / 裁判年月日: 令和5年3月29日 / 結論: 破棄差戻
第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときは、上記支払によって民事執行法160条による上記転付命令の執行債権及び執行費用の弁済…
事件番号: 平成14(許)1 / 裁判年月日: 平成14年4月26日 / 結論: 破棄自判
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止のために担保が立てられた場合において,債務者が破産宣告を受けたことの一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない。
事件番号: 昭和25(ク)40 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告が許されるのは、憲法違反を理由とする場合に限られる。単なる法令解釈の不当を憲法違反と主張することは、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、相手方の占有を解いて執行吏に保管させ、現状変更を禁止する仮処分決定を得ていた。その後、相手方が現状を変更したことを理由に…