Xは、次の⑴、⑵など判示の事情の下においては、亡A及び亡Bと亡Cとの間の各親子関係の不存在確認の訴えにつき法律上の利益を有する。 ⑴ Xは、亡A及び亡Bの孫であり、亡Cの戸籍上の甥である。 ⑵ 亡A及び亡Bの子である亡Dの戸籍上の法定相続人はX及び亡Cの子らであり、亡Dの相続において、上記各親子関係の存否によりXの法定相続分に差異が生ずることになる。
親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益があるとされた事例
民訴法134条、人事訴訟法2条2号
判旨
親子関係不存在確認の訴えにおいて、当該親子関係が不存在であることにより、提訴者の法定相続分に差異が生ずる場合には、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けるものとして、訴えの利益が認められる。
問題の所在(論点)
亡Dの相続人である上告人が、亡Cと父母(A・B)との間の親子関係不存在の確認を求めるにつき、上告人の法定相続分に差異が生じるにすぎない場合であっても、自己の身分関係に関する地位に「直接影響」を受けるものとして訴えの利益が認められるか。人事訴訟法2条2号、独身・親子関係の不存在確認の訴えにおける訴えの利益が問われた。
規範
親子関係不存在確認の訴えにつき、原告が法律上の利益(訴えの利益)を有するというためには、当該親子関係が不存在であることにより、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることを要する。
重要事実
1. 亡A・亡Bの戸籍上の子とされている亡Cと、亡A・Bの実子である亡D・亡Eが存在した。 2. 上告人は亡Eの子であり、亡Dの法定相続人である。 3. 亡Dが死亡し、その戸籍上の法定相続人は上告人(亡Eの子)および亡Cの子らであった。 4. 上告人が亡Cと亡A・Bとの間の親子関係の不存在を求めて提訴した。
あてはめ
1. 本件各親子関係が不存在であれば、亡Cの子らは亡Dの相続において法定相続人とならない。 2. その結果、上告人の亡Dに対する法定相続分に差異が生じることになる。 3. 法定相続人たる地位は、それ自体が身分関係に関するものである。 4. したがって、親子関係の存否によって法定相続分に差異が生じる場合には、提訴者は自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けるということができる。
結論
上告人は、本件訴えにつき法律上の利益を有する。したがって、本件訴えを却下した原判決は破棄され、第1審に差し戻されるべきである。
実務上の射程
従前の判例(最判昭63・3・1)の「自己の身分関係に関する地位に直接影響を受ける」という要件を維持しつつ、法定相続分の増減という経済的側面を伴う地位の変化であっても、それが相続という身分上の地位に基づくものである以上、訴えの利益を肯定することを明確にした。答案上は、相続関係を整理し、ターゲットとなる親子関係の存否が原告の相続分に具体的影響を与えることを示せば、訴えの利益を肯定できる根拠として使用する。
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