第三者が死者と生存者間の親子関係存否確認の訴を提起する場合においては、生存者のみを被告とすれば足り、死者について検察官を相手方に加える必要はない。
第三者からする死者と生存者間の親子関係存否確認の訴において被告とすべき者
民訴法225条,人事訴訟手続法2条2項,人事訴訟手続法第2章親子関係事件ニ関スル手続
判旨
第三者が親子関係存否確認の訴えを提起する場合、親子のうち一方が生存していればその者のみを被告とすれば足り、検察官を併せて被告とする必要はない。また、遺産分割等の前提問題として親子関係を争い得る場合であっても、戸籍訂正や身分関係の公定を目的とする限り、訴えの利益は肯定される。
問題の所在(論点)
1. 第三者が提起する親子関係存否確認の訴えにおいて、親子の一方が死亡している場合の被告適格(相手方)。 2. 遺産分割事件の前提問題として親子関係が争われ得る場合における、確認の訴えの利益の有無。
規範
1. 親子関係存否確認の訴えにおいて、親子の双方が死亡している場合は検察官を被告とする必要があるが、一方が生存している場合は、生存者のみを相手方とすれば足りる(人事訴訟法12条2項参照、旧人事訴訟手続法2条2項の類推適用)。 2. 訴えの利益については、特定の事件(遺産分割等)の前提問題として親子関係が争える場合であっても、戸籍記載を真実に合致させ、身分関係を基本的前提とする諸般の法律関係を明確にする必要があるときは、独立の訴えを提起する利益が認められる。
重要事実
第三者である被上告人が、上告人と亡Dおよび亡Eとの間の親子関係の不存在を求めて提訴した事案。本件訴訟の提起時、親子の一方は死亡していたが、他方(上告人)は生存していた。上告人側は、①一方の死亡により検察官を被告に加えるべきである、②係属中の遺産分割申立事件において前提問題として争えば足りるため訴えの利益がない、と主張して争った。
あてはめ
1. 本件では上告人が生存しているため、生存者である上告人のみを被告として提訴すれば足り、死亡したD・Eについて検察官を被告に加える必要はない。 2. 本件確認の訴えは、単に遺産分割における相続人の範囲を決定するためだけでなく、戸籍記載を真実の身分関係に適合させ、身分関係に基づく諸般の法律関係を明確にするために必要である。したがって、遺産分割事件の前提として争えるからといって、直ちに訴えの利益が否定されるものではない。 3. 本件訴えの提起が信義則に反し権利濫用となるような事情も認められない。
結論
被告適格に欠缺はなく、訴えの利益も認められる。したがって、被上告人の請求を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
人訴法12条2項の解釈として、生存者がいる場合には検察官を被告とする必要がないことを明示した重要判例である。答案上は、親子関係の存否確認における訴えの利益の検討(紛争解決の有効適切性)において、戸籍訂正等の一般的・基礎的な利益を根拠に、他の手続での個別解決可能性にかかわらず訴えの利益を広く認める際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)1489 / 裁判年月日: 昭和42年1月26日 / 結論: 破棄自判
子が戸籍上の母を被告として提起した父子関係存在確認の訴は、父の死亡後であつても、不適法である。
事件番号: 昭和28(オ)1397 / 裁判年月日: 昭和34年5月12日 / 結論: 棄却
戸籍上親子と記載されている者の双方が死亡した後に、その親子関係不存在の確認を求める訴は許されない。
事件番号: 令和3(受)1463 / 裁判年月日: 令和4年6月24日 / 結論: 破棄自判
Xは、次の⑴、⑵など判示の事情の下においては、亡A及び亡Bと亡Cとの間の各親子関係の不存在確認の訴えにつき法律上の利益を有する。 ⑴ Xは、亡A及び亡Bの孫であり、亡Cの戸籍上の甥である。 ⑵ 亡A及び亡Bの子である亡Dの戸籍上の法定相続人はX及び亡Cの子らであり、亡Dの相続において、上記各親子関係の存否によりXの法定…