嫡出親子関係不存在確認の訴においては、父子関係と母子関係との各不存在を合一に確定する必要はない。
嫡出親子関係不存在確認の訴における父子関係と母子関係との合一確定の要否
民訴法62条,人事訴訟手続法第2章親子関係事件ニ関スル手続
判旨
他人の子を嫡出子として届け出た場合、養子縁組届としての効力は認められない。また、嫡出親子関係不存在確認の訴えにおいて、父子関係と母子関係の不存在を常に合一に確定させる必要はない。
問題の所在(論点)
1. 虚偽の嫡出子出生届を養子縁組届として転換し、有効な縁組の成立を認められるか。 2. 嫡出親子関係不存在確認の訴えにおいて、父子関係と母子関係の双方について合一に確定させる必要があるか。
規範
1. 養子縁組は、法廷の届出によって効力を生ずる(民法799条、739条)。養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届を出しても、これを養子縁組届とみなすことはできない。 2. 嫡出親子関係不存在確認の訴えにおいては、父子関係と母子関係の各不存在を合一にのみ確定する必要はない。
重要事実
上告人は、他人の子を自らの嫡出子として虚偽の出生届を提出した。後に、被上告人ら(利害関係人)が、上告人と当該子との間の親子関係(父子関係および母子関係)の不存在確認を求めて提訴した。原審は、当該出生届に養子縁組としての効力はないとし、また母子関係の不存在確認については確認の利益を否定した。上告人は、出生届を養子縁組届とみなすべきであること、および父子・母子関係は合一に確定すべきであることを理由に上告した。
あてはめ
1. 養子縁組の成否について、わが国の法制は届出という方式を重視している。出生届と養子縁組届は別個の法定方式であり、実体的な養親子の意思があったとしても、出生届をもって縁組届とみなすことは、届出制度の厳格性に反するため認められない。 2. 親子関係の不存在確認について、父子関係と母子関係はそれぞれ独立した身分関係である。したがって、一方の不存在が確認されるべき状況であっても、他方の関係について常に同時に判断を下さなければならないという必然性はない。
結論
1. 嫡出子出生届をもって養子縁組の成立を認めることはできない。 2. 父子関係と母子関係の不存在を合一に確定する必要はない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、虚偽の出生届による親子関係の創設は認められないという「届出転換否定」の準則として機能する。また、訴訟法上は、親子関係不存在確認の訴えにおける父子・母子の分離判断を許容した重要な判例であり、大審院時代の合一確定の法理を変更したものとして位置づけられる。
事件番号: 昭和56(オ)362 / 裁判年月日: 昭和56年10月1日 / 結論: 棄却
第三者が死者と生存者間の親子関係存否確認の訴を提起する場合においては、生存者のみを被告とすれば足り、死者について検察官を相手方に加える必要はない。
事件番号: 平成25(受)233 / 裁判年月日: 平成26年7月17日 / 結論: 破棄自判
夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,子が現時点において妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても,親子関係不存在確認の訴えをもって父子関係の存否を争うことはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)