複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額については,分割の対象とされた個々の不動産ごとに,分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきである。
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額の判断の方法
地方税法73条の2第1項,地方税法73条の7第2号の3
判旨
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合、地方税法73条の7第2号の3(非課税規定)の「持分超過部分」の有無及び額については、個々の不動産ごとに、分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格を比較して判断すべきである。
問題の所在(論点)
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割による不動産の取得において、地方税法73条の7第2号の3にいう「持分超過部分」の有無を、不動産全体で判断すべきか、あるいは個々の不動産ごとに判断すべきか。
規範
不動産取得税は本来個々の不動産の取得ごとに課されるものであり(地方税法73条の2第1項等)、非課税の範囲を定める同法73条の7第2号の3の適用も、課税の仕組みと整合的に解すべきである。したがって、共有物分割が複数の不動産を一括して対象とする場合であっても、持分超過部分の有無等は、個々の不動産ごとに、分割前の持分割合に相当する価格と分割後の取得価格を対比して判断する。
重要事実
事件番号: 平成31(行ヒ)99 / 裁判年月日: 令和2年3月19日 / 結論: 破棄自判
固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において,各筆の宅地の評点数は,画地計算法の適用により算出された当該画地の単位地積当たりの評点数に,各筆の宅地の地積を乗ずることによって算出される。
1. 本件各不動産(土地等)は、Aが持分10分の6、上告人ほか3名が各持分10分の1の割合で共有していた。2. 裁判による共有物分割の結果、本件各不動産を一括して分割対象とし、そのうち本件各土地(3筆)を上告人の単独所有、残りを他の共有者の単独所有とする判決が確定した。3. これにより上告人は本件各土地について各10分の9の持分を取得した(本件各取得)。4. 課税当局は、本件各取得を持分超過部分として不動産取得税の賦課決定処分を行った。5. 上告人は、一括分割の結果として全体での持分に応じた取得であるから非課税規定が適用されるべきと主張して取消しを求めた。
あてはめ
不動産取得税に関する地方税法の諸規定(課税標準、免税点等)は個々の不動産を単位として設計されている。本件において、上告人は従前10分の1の持分を有していた本件各土地について、分割により他の共有者から残る10分の9の持分をそれぞれ取得している。個々の不動産ごとに見れば、各土地において「分割前の持分割合を超える部分」を取得したことは明らかであり、本件各取得の全部が持分超過部分に該当すると評価される。分割対象全体の価値の合計と取得した不動産の価値を比較する解釈は、法文の文言および課税体系に照らして採用できない。
結論
本件各取得は持分超過部分の取得に当たり、地方税法73条の7第2号の3による非課税対象とはならない。したがって、本件賦課処分は適法である。
実務上の射程
複数の不動産をパッケージとして共有物分割(交換的分割等)を行う際、特定の不動産について持分を増加させた場合には、不動産全体での価値の収支にかかわらず、個別の不動産単位で不動産取得税が課されるリスクを考慮する必要がある。
事件番号: 昭和51(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和53年4月11日 / 結論: 棄却
共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を取得することは、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
事件番号: 昭和59(行ツ)299 / 裁判年月日: 昭和62年1月22日 / 結論: 棄却
相続土地の共有持分の取得が相続人らにおいて第一回遺産分割協議を合意解除し改めて第二回遺産分割協議をしたことに伴うものである場合には、右取得は地方税法七三条の七第一号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当する。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。