相続土地の共有持分の取得が相続人らにおいて第一回遺産分割協議を合意解除し改めて第二回遺産分割協議をしたことに伴うものである場合には、右取得は地方税法七三条の七第一号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当する。
相続土地の共有持分の取得が地方税法七三条の七第一号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当するとされた事例
地方税法73条の7第1号,民法907条1項,民法909条
判旨
共同相続人の全員が、既に成立していた遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上で改めて分割協議をした場合、その協議による不動産の取得は地方税法73条の7第1号所定の「相続による不動産の取得」に該当する。
問題の所在(論点)
共同相続人が一度成立した遺産分割協議を合意解除し、改めて再度の遺産分割協議によって不動産を取得した場合、地方税法73条の7第1号にいう「相続による不動産の取得」として非課税の対象となるか。
規範
共同相続人全員の合意による既往の遺産分割協議の解除および再度の分割協議がなされた場合であっても、それによって得られた不動産の権利取得は、実質的に相続を原因とする権利の帰属の確定と評価できる。したがって、地方税法73条の7第1号の「相続による不動産の取得」に該当し、不動産取得税の非課税事由となる。
重要事実
被上告人を含む共同相続人らは、当初第一回遺産分割協議を行ったが、その後、本件相続土地に関する部分について相続人全員の合意により解除した。その上で、改めて第二回遺産分割協議を行い、被上告人が本件相続土地の共有持分を取得した。これに対し、課税当局が「相続による取得」ではないとして不動産取得税の賦課処分を行ったため、その取り消しを求めて争われた。
事件番号: 昭和42(行ツ)58 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復も地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
あてはめ
本件では、相続人全員の合意によって第一回遺産分割協議のうち土地に関する部分が適法に解除されており、その後に改めて第二回遺産分割協議が成立している。この第二回協議は、当初の協議がなかったものとして相続開始時に遡って遺産の帰属を確定させる性質を有すると解される。したがって、第二回協議に基づく被上告人の共有持分取得は、形式的には再協議による取得であるが、実質的には相続という一連の過程における遺産分割による取得といえる。
結論
再度の遺産分割協議による不動産の取得は「相続による不動産の取得」に該当する。したがって、本件不動産取得税の賦課処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
本判決は、民法上認められる遺産分割協議の合意解除および再分割が、税法上の非課税規定との関係でも「相続」の枠組みに含まれることを肯定したものである。答案上は、遺産分割のやり直しがなされた際の課税の適否、あるいは民法上の分割協議解除の有効性を前提とした後続の法的効果を論ずる際の有力な根拠となる。
事件番号: 昭和45(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復は、それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和51(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和53年4月11日 / 結論: 棄却
共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を取得することは、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。
事件番号: 令和3(行ヒ)62 / 裁判年月日: 令和4年3月22日 / 結論: 棄却
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額については,分割の対象とされた個々の不動産ごとに,分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとな…
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)