売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復も地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復と地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」
地方税法73条の21項
判旨
地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」とは、所有権得喪の法律効果ではなく、経過的事実に即した所有権取得の事実を指し、売買契約の合意解除による売主の所有権回復もこれに含まれる。
問題の所在(論点)
売買契約の合意解除によって売主が不動産の所有権を回復することが、地方税法73条の2第1項に規定される不動産取得税の課税客体たる「不動産の取得」に該当するか。
規範
地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは、所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく、その経過的事実に即してとらえた不動産所有権取得の事実をいうものと解するのが相当である。不動産取得税は、不動産の移転という事実自体に着目して課せられる流通税としての本質を有するからである。
重要事実
上告人らは、被相続人から不動産の売主たる地位を承継した。その後、買主との間で行われた本件売買契約を合意解除し、本件各土地の所有権を回復した。これに対し、課税当局は当該合意解除による所有権の回復が「不動産の取得」に該当するとして不動産取得税を課したため、上告人らがその取り消しを求めて争った。
事件番号: 昭和45(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復は、それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
あてはめ
本件における不動産の所有権の動きを「経過的事実に即して」検討する。上告人らは売主の地位を相続した後、合意解除を行っている。この合意解除に基づく所有権の回復は、一度は買主に移転した所有権が、再び売主に移転したという事実が認められる。したがって、法律上の遡及効の有無にかかわらず、外形的な所有権の再移転という事実がある以上、不動産の取得があったといえる。
結論
売買契約の合意解除による所有権の回復は「不動産の取得」にあたる。よって、本件課税処分は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
不動産取得税の課税要件である「取得」の概念を、実質的な経済的利益の享受ではなく、外形的な権利移転の事実で判断することを確立した。合意解除のみならず、解除による原状回復一般についても本判例の論理が妥当し、課税対象となり得る点に注意を要する。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
事件番号: 昭和59(行ツ)299 / 裁判年月日: 昭和62年1月22日 / 結論: 棄却
相続土地の共有持分の取得が相続人らにおいて第一回遺産分割協議を合意解除し改めて第二回遺産分割協議をしたことに伴うものである場合には、右取得は地方税法七三条の七第一号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当する。
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…