一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の固定資産課税台帳への登録が行われず、固定資産課税台帳に前年度の価格が記載されたままになつているときは、地方税法七三条の二一第二項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産」として、道府県知事は、自治大臣の定める固定資産評価基準により、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定すべきである。
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」の意義 二、基準年度に不動産を取得した場合において右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の固定資産課税台帳への登録が行われず固定資産課税台帳に前年度の価格が記載されたままになつているときの当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格の決定方法
地方税法73条の21
判旨
不動産取得税の課税標準を定める地方税法73条の21第1項にいう「固定資産の価格が登録されている不動産」とは、取得日の属する年の固定資産税賦課期日における価格が登録されているものを指す。基準年度の取得時に当該年度の価格が未登録で前年度価格が記載されているにすぎない場合は、同条2項により知事が固定資産評価基準に基づき価格を決定すべきである。
問題の所在(論点)
基準年度において、当該年度の価格が未登録の状態で不動産を取得した場合、地方税法73条の21第1項を適用して旧登録価格を基準とすべきか、あるいは同条2項により新たに価格を決定すべきか。同条1項の「登録されている」ことの意義が問題となる。
規範
地方税法73条の21第1項の「価格が登録されている不動産」とは、不動産取得時において、その取得日の属する年の固定資産税賦課期日における価格が登録されている不動産を指す。基準年度において、取得時までに当該年度の価格登録がなされず、台帳に前年度の価格が記載されているにすぎない場合は、同条2項にいう「固定資産の価格が登録されていない不動産」に該当し、道府県知事が固定資産評価基準によって価格を決定すべきである。
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
重要事実
上告人は、昭和39年度(基準年度)の3月28日に本件土地を取得した。都知事は、後に昭和39年度の固定資産税の課税標準として登録された価格を不動産取得税の課税標準として賦課処分を行った。取得当時、台帳に昭和39年度の価格が登録されていたかは不明であったが、上告人は、前年度の登録価格によらずに課税標準を決定した処分の違法を主張した。
あてはめ
法が原則として台帳価格による(73条の21第1項)とする趣旨は、不動産取得税と固定資産税の評価基準が同一であることから、評価の統一と事務の簡素化を図る点にある。基準年度においては、前年度価格を据え置かず、新たに当該年度の賦課期日の価格を評価・決定すべきものである。したがって、取得時に当該年度の価格が未登録であれば、便宜的に前年度価格を用いることは許されず、知事が評価基準に基づき適正な時価を決定すべきである。本件では、知事が後に登録された39年度価格(適正な時価)に基づき課税標準を決定しており、これは評価基準に従った決定と同実質である。
結論
本件賦課処分は、台帳に当該年度の価格が登録されていなかったとしても、結果として適正な時価(後に登録された基準年度価格)を課税標準としており、地方税法73条の21第2項の規定に沿うものとして適法である。
実務上の射程
不動産取得税の課税標準の決定において、台帳価格の流用が許される範囲を限定した判例である。基準年度のように価格が改訂されるべき時期において、事務の遅滞等により新価格が未登録の場合、安易に旧価格を流用することは「適正な時価」を求める法の趣旨に反すると判断している。実務上は、取得時期と台帳登録時期の関係性を確認する際の指針となる。
事件番号: 昭和46(行ツ)9 / 裁判年月日: 昭和51年3月26日 / 結論: 棄却
一、不動産取得税の納税者が同税の賦課処分の取消訴訟において固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格が客観的に適正な価格と異なると主張して課税標準たる価格を争うことはできない。 二、地方税法七三条の二一第一項が憲法三二条、七六条二項違反の問題を生ずるものでないことは、最高裁昭和二八年(オ)第六一六号同三〇年三月二三日…
事件番号: 平成4(行ツ)196 / 裁判年月日: 平成6年4月21日 / 結論: 破棄自判
地方税法七三条の二一第一項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、その結果、固定資産課税台帳に登録された価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため、右登録価格を不動産取得税の課税標準と…
事件番号: 昭和45(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復は、それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。