不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
不動産を等価交換により取得した場合と地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」
地方税法73条の2
判旨
地方税法上の不動産取得税における「不動産の取得」とは、原則として不動産所有権の取得を意味し、その取得原因や資産の純増の有無を問わない。したがって、不動産の等価交換による取得であっても、同法に基づく課税対象となる。
問題の所在(論点)
不動産の等価交換による取得が、地方税法73条の2第1項に規定される不動産取得税の課税客体である「不動産の取得」に含まれるか。また、資産の純増を伴わない取得への課税が租税賦課の公平に反しないか。
規範
地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは、他に特段の規定がない限り、不動産所有権の取得そのものを意味する。不動産取得税は、所有権取得という事実を捉えて課税される性質の税であるため、取得原因のいかんを問わず、また取得の結果として資産の増加を伴うものであるか否かも問わない。
重要事実
上告人は、自己が所有する不動産(甲不動産)と他人が所有する不動産(乙不動産)を等価で交換した。これに対し、行政庁が乙不動産の取得について不動産取得税を賦課したところ、上告人は、等価交換は単なる不動産の交替にすぎず、新たな資産の増加を伴わないため「不動産の取得」に該当しない、あるいは課税の公平に反すると主張して争った。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。
あてはめ
まず、地方税法上「不動産の取得」を資産の増加がある場合に限定する根拠は見出せない。本件の等価交換において、上告人は乙不動産の所有権を実態として取得しており、同項の「不動産の取得」という事実に合致する。次に公平性の観点について検討するに、交換は当事者双方が互いに不動産を取得する行為であり、両者に課税されるのは当然である。既に課税を受けた甲不動産を売却した代金で乙不動産を購入した場合に再度課税されるのと同様、等価交換による再度の課税も租税賦課の公平に反するものとはいえない。
結論
不動産の等価交換による取得は「不動産の取得」に該当する。したがって、本件賦課処分は適法であり、上告人の主張は認められない。
実務上の射程
不動産取得税の課税原因を「形式的な所有権の移転」という事実に求める判例であり、交換・贈与・売買といった原因のいかんを問わない。答案上は、流通税としての性格から、経済的価値の増加(純増)を要件としないことを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和45(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復は、それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和42(行ツ)58 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復も地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…
事件番号: 昭和51(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和53年4月11日 / 結論: 棄却
共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を取得することは、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。