固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について,同期日において当該ゴルフ場用地の周辺の土地は工場等の敷地となっていたという事実関係の下では,当該ゴルフ場用地の取得価額を附近の土地の価額から評定するに当たり,当該ゴルフ場用地の造成前の状態である塩田跡地としての取得価額を評定していないことを理由として固定資産評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断には,固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。
固定資産課税台帳に登録されたゴルフ場用地の価格が固定資産評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法349条1項,地方税法388条1項,地方税法403条1項,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)第1章第10節二
判旨
ゴルフ場用地の固定資産評価において、評価基準に定める「附近の土地の価額から評定した取得価額」を算定する際、必ずしも造成前の地目(塩田跡地等)の状態を前提とする必要はなく、賦課期日現在の周辺土地の状況(工場用地等)に比準して評定することも許容される。
問題の所在(論点)
地方税法349条1項及び403条1項に基づくゴルフ場用地の評価において、評価基準が定める「附近の土地の価額から評定した取得価額」を、造成前の地目の状態に基づき算定すべきか否か。
規範
1. 固定資産の登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には、適正な時価を上回るか否かにかかわらず、その決定は違法となる。 2. 評価基準におけるゴルフ場用地の取得価額の評定(附近の土地の価額に比準する方法)については、特定の具体的な方法が限定されているわけではない。造成から長期間経過し、造成前の状態を正確に把握できない場合も想定されるため、必ずしも造成前の地目による評価に拘束されない。 3. 技術的な助言である「ゴルフ場通知」に示された例示は、事例に応じた他の評価方法を排除する趣旨ではない。
事件番号: 令和3(行ヒ)283 / 裁判年月日: 令和4年9月8日 / 結論: その他
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について、固定資産評価審査委員会が、当該ゴルフ場用地の取得価額の評定に当たり用いた方法との整合性の観点から、必要な土工事の程度を考慮することなく当該ゴルフ場用地の造成費を評定し得るとの見解に立脚して審査の申出を…
重要事実
1. 山口県下松市のゴルフ場用地(本件各土地)に係る平成27年度固定資産税につき、納税義務者が登録価格の取消しを求めた事案。 2. 本件各土地はかつて塩田跡地であったが、その後造成され、賦課期日(平成27年1月1日)時点では、周辺土地の多くは工場用地(宅地)となっていた。 3. 下松市長は、不動産鑑定に基づき、附近の工場用地に比準する方法により取得価額を評定し、造成費を加算せずに登録価格(約32億円)を決定した。 4. 原審は、取得価額は「造成前の地目(塩田跡地)」としての客観的時価をいうべきであるとし、評価基準違反を認めた。
あてはめ
1. 固定資産税の課税標準は、賦課期日における価格を基準とすべきものである(地方税法349条1項)。本件賦課期日において、周辺土地は工場等の敷地となっていた。 2. 評価基準は、附近の土地に比準して取得価額を評定する方法として、造成前の状態を前提とすべきとの特定の限定を設けていない。 3. 本件のように、かつて塩田跡地であった土地が長期間を経てゴルフ場となっている場合、造成前の状態を正確に把握することが困難な場合もある。 4. したがって、造成前の塩田跡地としてではなく、現状の周辺状況である工場用地に比準して取得価額を評定したとしても、直ちに評価基準に違背するとはいえない。
結論
造成前の状態(塩田跡地)としての取得価額を評定していないことをもって、評価基準に従っていないとした原審の判断には、法令の解釈適用の誤りがある。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
ゴルフ場用地の評価手法(比準方式)に関する重要判例。行政側が「造成前の地目」に固執せず、現状の周辺土地の利用状況(宅地・工場地等)に基づき評価することの正当性を認めた。答案上は、評価基準の解釈において、画一的な過去の状況への遡及ではなく、賦課期日時点の周辺状況との整合性や、評価の困難性という実務的要請を考慮する根拠として用いる。
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 平成28(行ヒ)406 / 裁判年月日: 平成30年7月17日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら,上記街路が同号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に,建築確認を受けることができないために当該土地上に建…
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…
事件番号: 平成30(行ヒ)262 / 裁判年月日: 平成31年4月9日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供され,その調整機能を保持することが上記開発行為の許可条件になっていることを理由に,面積の80%以上に常時水がたまっているなどの当該土地の現況等について十分に考慮することなく,当該土地は宅地で…