固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら,上記街路が同号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に,建築確認を受けることができないために当該土地上に建築物を建築することができない事態となる可能性はないとして,上記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする上記価格の決定は適法であるとした原審の判断には,固定資産の評価等に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。
固定資産課税台帳に登録された土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に上記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする上記価格の決定は適法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法349条1項,地方税法388条1項,地方税法403条1項,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)第1章第3節,建築基準法42条1項3号,建築基準法43条1項
判旨
固定資産評価において、接道義務による利用上の制約は適正な時価に影響するため、評価基準は当該街路が建築基準法上の道路に該当するか否かを考慮すべきものとしている。また、同法42条1項3号の道路該当性は客観的事実により決まるため、行政による事実上の道路判定のみをもって、建築制限がないことを前提とした登録価格を適法とすることはできない。
問題の所在(論点)
固定資産税の登録価格の決定において、行政による事実上の「道路判定」があることをもって、直ちに法42条の道路に接しているものとして(利用上の制約がないものとして)評価基準を適用することが許されるか。
規範
1. 土地の登録価格が固定資産評価基準(以下「評価基準」)によって決定される価格を上回る場合、その決定は違法となる。2. 評価基準は、接道義務に関する利用上の制約の有無及び程度を反映するため、接する街路が建築基準法(以下「法」)42条所定の道路に該当するか否かを考慮すべきものとしている。3. 法42条1項3号の道路該当性は、特定の時点において幅員4m以上の道として存在したかという客観的要件により定まる。市町村長による道路判定は事実上の確認行為にすぎず、客観的要件を満たさない限り、建築主事等は当該道路に接することを前提とした建築確認をすることはできない。
事件番号: 平成30(行ヒ)262 / 裁判年月日: 平成31年4月9日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供され,その調整機能を保持することが上記開発行為の許可条件になっていることを理由に,面積の80%以上に常時水がたまっているなどの当該土地の現況等について十分に考慮することなく,当該土地は宅地で…
重要事実
納税義務者Aが所有する本件各土地(駐車場)の固定資産税評価について、京都市長は、本件各土地が接する街路(本件街路)を法42条1項3号の道路(3号道路)と判定していた。これに基づき、評価上の補正(細街路等補正)を行わずに登録価格を決定した。しかし、本件街路が法第3章の適用開始時点(昭和25年)において幅員4m以上あったかという客観的事実は不明であった。Aの承継人である上告人は、3号道路に該当しないことを前提に評価すべきであるとして、審査決定の取消しを求めた。
あてはめ
法42条1項3号の道路該当性は客観的に決まるものであり、京都市長の道路判定には法的拘束力(行政処分性)がない。建築主事等は道路判定と異なる判断をすることが妨げられないため、客観的に3号道路の要件を満たさない場合には、道路判定が存在しても建築確認を受けられない制約が残る。それゆえ、客観的要件を満たすか否かが不明であるにもかかわらず、道路判定の存在のみを理由に「建築できない可能性はない」として、制約がないことを前提に登録価格を適法とした原審の判断は、評価基準の解釈適用を誤っている。
結論
本件街路が3号道路の客観的要件を満たすか否かを審理せずに、登録価格を適法とした判断には法令違反がある。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
固定資産評価審査決定取消訴訟において、評価の基礎となる「適正な時価(評価基準による価格)」を争う際の指針となる。特に建築制限(接道義務)が価格に及ぼす影響を重視し、行政による公的な図面や判定が、直ちに評価上の「制約の不存在」を基礎づけるものではないことを示した。実務上は、基準日時点での客観的な道路幅員等の立証が重要となる。
事件番号: 令和3(行ヒ)283 / 裁判年月日: 令和4年9月8日 / 結論: その他
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について、固定資産評価審査委員会が、当該ゴルフ場用地の取得価額の評定に当たり用いた方法との整合性の観点から、必要な土工事の程度を考慮することなく当該ゴルフ場用地の造成費を評定し得るとの見解に立脚して審査の申出を…
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 令和2(行ヒ)323 / 裁判年月日: 令和4年3月3日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について,同期日において当該ゴルフ場用地の周辺の土地は工場等の敷地となっていたという事実関係の下では,当該ゴルフ場用地の取得価額を附近の土地の価額から評定するに当たり,当該ゴルフ場用地の造成前の状態である塩田跡…