1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり,かつ,固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における当該土地の価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には,その登録された価格は,その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認される。 (2につき補足意見がある。)
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合におけるその登録された価格の決定の適否 2 固定資産評価基準によって決定される基準年度に係る賦課期日における土地の価格とその適正な時価との関係
(1,2につき)地方税法341条5号,地方税法349条1項,地方税法388条1項,地方税法403条1項
判旨
固定資産税の登録価格の決定が違法となるのは、当該価格が評価基準に従って決定される価格を上回る場合、または評価基準の合理性欠如や特別の事情により適正な時価を上回る場合のいずれかである。評価基準に従って公平な評価を受ける利益は適正な時価との多寡とは別に保護されるため、登録価格が評価基準に基づく価格を上回れば、客観的な交換価値を超えていなくとも違法となる。
問題の所在(論点)
固定資産税の土地登録価格の適法性を判断するにあたり、登録価格が「適正な時価」(客観的な交換価値)を超えていない場合であっても、地方税法403条1項が定める「評価基準」に違反していることを理由に違法となり得るか。
規範
土地の登録価格の決定が違法となるのは、①当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき、あるいは、②評価基準に従った価格ではあるが、その評価方法に一般的な合理性が認められないか、又は特別の事情により適正な時価を適切に算定できない場合に、登録価格が客観的な交換価値としての「適正な時価」を上回るときである。全国一律の評価基準に従って公平な評価を受ける利益は、それ自体が地方税法上保護される。
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…
重要事実
上告人は、共有する区分建物の敷地権の目的である土地(本件敷地部分)に係る平成21年度固定資産税の登録価格を不服として審査申出を行った。本件敷地部分は「一団地の住宅施設」として都市計画により建ぺい率20%、容積率80%に制限されていたが、上告人は登録価格の決定においてこれらの制限が適切に考慮されておらず、評価基準に従ったものといえないと主張した。原審は、評価基準の成否を問わず、鑑定結果等から認められる「適正な時価」が登録価格を上回っている以上、違法ではないと判断した。
あてはめ
地方税法が総務大臣の告示する評価基準に従うべきとする趣旨は、全国一律の基準により評価の均衡を図り公平を期す点にある。したがって、評価基準に従って評価を受ける利益は適正な時価の多寡とは別個に保護されるべきである。本件において、原審は登録価格が鑑定による時価を下回ることのみを理由に棄却したが、登録価格が評価基準に従って算定された価格を上回っていないか(①)、また評価基準に合理性があるかや特別の事情がないか(②)について審理を尽くしていない。建ぺい率・容積率制限の考慮が評価基準上どう扱われるべきかを含め、これらの観点からの審理が必要である。
結論
原判決には登録価格の違法性に関する法令の解釈適用の誤りおよび審理不尽がある。原判決を破棄し、評価基準違反の有無等についてさらに審理させるため本件を差し戻す。
実務上の射程
固定資産税の賦課取消訴訟において、原告側は「時価超え」だけでなく「評価基準違反」を独立の違法事由として主張できる。答案上は、評価基準に従った算定価格が時価の推認を導くという従来の枠組み(最判平15.7.18等)を前提としつつ、本判決により「評価基準違反それ自体」が取消事由になり得ることが明確化された点に注意して論述する。
事件番号: 平成11(行ヒ)182 / 裁判年月日: 平成15年7月18日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)が定める標準家屋の再建築費評点数に比準して家屋の再建築費評点数を付設する方法及び同評点数に乗ずべき経過年数に応ずる減点補正率並びに同基準に基づいて自治大臣が指示した評点1点当たりの価額に一般的な合理性があるという事情の下に…
事件番号: 平成10(行ヒ)41 / 裁判年月日: 平成15年6月26日 / 結論: 棄却
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合には,上記価格の決定は違法となる。 2 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成8年自治省告示第192号による改正前のもの)に定める市街地宅地評価法にのっとり,いわゆる7割評価通達…
事件番号: 平成14(行ヒ)181 / 裁判年月日: 平成17年7月11日 / 結論: その他
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において,裁判所が,同期日における当該土地の適正な時価又は固定資産評価基準によって決定される価格を認定し,同委員会の認定した価格が上記の適正な時価等を上回っていることを理由として同決定を取り消す場合には,…
事件番号: 平成18(行ヒ)179 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。)及び市の土地評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法により市街化区域内の農地,原野及び雑種地の価格が決定された場合において,固定資産評価基準所定の市街化区域内の農地の評価方法等に一般的な合理性があるなど判示の事情の下で…