固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において,裁判所が,同期日における当該土地の適正な時価又は固定資産評価基準によって決定される価格を認定し,同委員会の認定した価格が上記の適正な時価等を上回っていることを理由として同決定を取り消す場合には,同決定のうち上記の適正な時価等を超える部分を取り消せば足りる。
固定資産課税台帳に登録された土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において同委員会の認定した価格が裁判所の認定した適正な時価等を上回っていることを理由として同決定を取り消す場合における取消しの範囲
地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)341条5号,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)411条1項,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)432条1項,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)433条1項,地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)403条1項,地方税法349条1項,地方税法359条,地方税法434条1項
判旨
固定資産評価審査決定の取消訴訟において、裁判所が適正な時価等を認定した場合、特段の事情がない限り、決定のうち適正な時価等を超える部分のみを取り消すべきである。
問題の所在(論点)
固定資産評価審査委員会の決定に価格認定の誤りがある場合、裁判所は審査決定の全部を取り消すべきか、それとも適正な時価等を超える部分に限って取り消すべきか(一部取消しの可否)。
規範
土地課税台帳等に登録された価格に関する審査決定の取消訴訟において、裁判所は、基準年度の賦課期日における「適正な時価等」を認定した場合には、審査決定の全部を取り消すのではなく、当該決定のうち裁判所が認定した適正な時価等を超える部分に限り、これを取り消せば足りる。これは、納税者が全部取消しを求めているか、一部取消しを求めているかを問わない。このように解することで、紛争の早期解決を図ることが可能となる。
事件番号: 平成11(行ヒ)182 / 裁判年月日: 平成15年7月18日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)が定める標準家屋の再建築費評点数に比準して家屋の再建築費評点数を付設する方法及び同評点数に乗ずべき経過年数に応ずる減点補正率並びに同基準に基づいて自治大臣が指示した評点1点当たりの価額に一般的な合理性があるという事情の下に…
重要事実
都知事が決定した本件各土地の平成6年度の価格に対し、納税者である被上告人が審査申出を行ったところ、固定資産評価審査委員会(上告人)は一部を除き棄却する決定をした。被上告人は当該審査決定の取消しを求めて提訴した。原審は、本件土地2ないし6につき、賦課期日における客観的な交換価値(適正な時価)を認定した上で、審査決定がこれを上回る価格を認定した点は違法であるが、土地の価格は不可分な評価事実であるとして、審査決定の「全部」を取り消した。
あてはめ
審査決定の取消訴訟における実体上の適法要件は、認定価格が適正な時価等を上回らないことにある。本件において、裁判所は本件土地2ないし6の適正な時価(客観的交換価値)を具体的に算出・認定している。この場合、審査決定が金額的にどの限度で違法となるかを特定することが可能である。したがって、価格が不可分であることを理由に全部を取り消す必要はなく、認定された適正な時価を超える部分のみに違法性が認められると判断される。
結論
審査決定のうち、裁判所が認定した適正な時価を超える部分に限り取り消すべきであり、全部を取り消した原判決は破棄される。
実務上の射程
行政事件訴訟法に基づく取消訴訟において、処分が数量的に可分な場合の一部取消しの法理を固定資産税評価の場面で確認したものである。答案上は、裁量権の逸脱濫用が問題となる場面ではなく、客観的な正解値(適正な時価)が存在し、かつ裁判所がそれを確定できる場合に、紛争の一回的解決の観点から一部取消しを肯定する論拠として用いる。
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 平成10(行ヒ)41 / 裁判年月日: 平成15年6月26日 / 結論: 棄却
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合には,上記価格の決定は違法となる。 2 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成8年自治省告示第192号による改正前のもの)に定める市街地宅地評価法にのっとり,いわゆる7割評価通達…
事件番号: 平成18(行ヒ)179 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。)及び市の土地評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法により市街化区域内の農地,原野及び雑種地の価格が決定された場合において,固定資産評価基準所定の市街化区域内の農地の評価方法等に一般的な合理性があるなど判示の事情の下で…