固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。)及び市の土地評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法により市街化区域内の農地,原野及び雑種地の価格が決定された場合において,固定資産評価基準所定の市街化区域内の農地の評価方法等に一般的な合理性があるなど判示の事情の下では,当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として,他に前記方法によっては適切に算定することのできない特別の事情があることについて首肯するに足りる認定説示をすることなく,前記方法によって決定された価格が適正な時価を上回るとした原審の判断には,違法がある。 (補足意見がある。)
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)及び市の評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法によって決定された市街化区域内の農地等の価格につき,当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として上記価格が適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)388条1項,地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)403条1項,地方税法(平成16年法律第124号による改正前のもの)341条5号,地方税法349条1項,地方税法附則19条の2第1項,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)第1章第2節の2,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)第1章第3節,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)第1章第9節,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)第1章第10節一
判旨
市街化区域農地等の評価において、評価基準等に基づく宅地比準方式は一般的な合理性を有し、対象区域が市街化の実態を欠くという事情のみでは、直ちに当該評価方法を否定すべき「特別の事情」には当たらない。
問題の所在(論点)
市街化の実態を欠く市街化区域内に所在する土地について、評価基準等が定める宅地比準方式を用いて価格を決定することが、地方税法上の「適正な時価」を上回るものとして違法となるか。また、市街化の実態の欠如が、評価方法の合理性を否定する「特別の事情」に該当するか。
規範
固定資産税の課税標準となる「適正な時価」の算定において、評価基準及び評価要領所定の評価方法は一般的な合理性を有する。したがって、これらに従って決定された価格は、当該評価方法によっては価格を適切に算定することのできない「特別の事情」のない限り、適正な時価であると推認される。市街化区域農地等は宅地への転用が容易で潜在的価値を有するため、宅地比準方式を適用することには原則として合理性がある。
事件番号: 平成11(行ヒ)182 / 裁判年月日: 平成15年7月18日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)が定める標準家屋の再建築費評点数に比準して家屋の再建築費評点数を付設する方法及び同評点数に乗ずべき経過年数に応ずる減点補正率並びに同基準に基づいて自治大臣が指示した評点1点当たりの価額に一般的な合理性があるという事情の下に…
重要事実
兵庫県西宮市の市街化区域内に所在する農地、原野、雑種地(本件各土地)につき、西宮市長が宅地比準方式に基づき平成12年度の価格を決定した。しかし、本件区域は他から離れた飛び地で、建物の連たんは約2割に留まり、人口密度も市全体の約6分の1以下であった。被上告人らは、本件区域が市街化の実態を有しておらず、宅地並みの評価は不当であるとして、決定の取消しを求めた。
あてはめ
市街化区域農地は農地法上の転用許可が不要(届出制)であり、宅地化の需要が生じやすく宅地としての潜在的価値を通常有する。本件区域が「おおむね10年以内に市街化を図るべき区域」としての実態を欠くとしても、その程度は区域内の宅地自体の価格に反映される。したがって、区域全体の市街化の程度や見込みが低いという事実のみをもって、直ちに宅地比準方式が不適当となる「特別の事情」があるとはいえない。評価基準等に従って算出されている限り、適正な時価であるとの推認は維持される。
結論
本件各価格が評価基準等に正しく従って算出されている限り、市街化の実態が乏しいという事情のみでは違法とはいえない。原審の判断には法令の違反があるため、破棄・差し戻すべきである。
実務上の射程
評価基準に基づく価格決定の適法性を争う際、評価手法自体の合理性を覆すための「特別の事情」のハードルが極めて高いことを示した。市街化調整区域への逆線引きが検討されるような過疎的な市街化区域であっても、都市計画上の区分が維持されている限り、宅地比準による評価が原則として維持される。
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 平成14(行ヒ)181 / 裁判年月日: 平成17年7月11日 / 結論: その他
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において,裁判所が,同期日における当該土地の適正な時価又は固定資産評価基準によって決定される価格を認定し,同委員会の認定した価格が上記の適正な時価等を上回っていることを理由として同決定を取り消す場合には,…
事件番号: 平成28(行ヒ)406 / 裁判年月日: 平成30年7月17日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら,上記街路が同号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に,建築確認を受けることができないために当該土地上に建…
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…