固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)が定める標準家屋の再建築費評点数に比準して家屋の再建築費評点数を付設する方法及び同評点数に乗ずべき経過年数に応ずる減点補正率並びに同基準に基づいて自治大臣が指示した評点1点当たりの価額に一般的な合理性があるという事情の下においては,同基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情又は同基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情について首肯するに足りる認定説示をすることなく,同基準に従って決定された平成9年度に係る賦課期日における家屋の価格が同期日における適正な時価を超えるとした原審の判断には,違法がある。
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)に従って決定された平成9年度に係る賦課期日における家屋の価格が同期日における適正な時価を超えるとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法(平成10年法律第27号による改正前のもの)381条3項,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)341条5号,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)411条1項,地方税法(平成11年法律第87号による改正前のもの)388条1項,地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)403条1項,地方税法(平成14年法律第17号による改正前のもの)410条,地方税法349条1項,地方税法359条,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)2章1節一,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)2章1節二,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)3節,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)4節,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成10年自治省告示第87号による改正前のもの)別表第13
判旨
固定資産評価基準に従って算定された家屋の価格は、同基準に定める評価方法では再建築費を適切に算定できない、または同基準を超える減価を要するなどの「特別の事情」がない限り、適正な時価と推認される。
問題の所在(論点)
固定資産評価基準に従って算定された価格が、地方税法上の「適正な時価」として認められるための要件、およびその推認を覆すために必要な「特別の事情」の意義が問題となる。
規範
事件番号: 平成14(行ヒ)181 / 裁判年月日: 平成17年7月11日 / 結論: その他
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定の取消訴訟において,裁判所が,同期日における当該土地の適正な時価又は固定資産評価基準によって決定される価格を認定し,同委員会の認定した価格が上記の適正な時価等を上回っていることを理由として同決定を取り消す場合には,…
固定資産評価基準(地方税法388条1項)は、評価の適正を手続的に担保するものである。したがって、同基準に従って決定された価格は、①同基準が定める評価方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情、または②同基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情、のいずれかが存しない限り、地方税法349条1項所定の「適正な時価」であると推認される。
重要事実
市長が固定資産評価基準(総合比準評価法、経年減点補正率等)に基づき、本件建物の価格を約3008万円と決定した。これに対し納税者は、不動産鑑定士による鑑定(F鑑定)に基づき、適正な時価は約1895万円(または最大でも約2606万円)であると主張して、決定の取消しを求めた。原審は、評価基準に基づく価格がF鑑定の額を上回ることを理由に、特段の反証があるとして市長の決定を違法とした。
あてはめ
評価基準が定める「総合比準評価の方法」「評点1点当たりの価額(1.1円)」「経年減点補正率」は、いずれも一般的な合理性を有する。本件において、F鑑定は再調達原価や残価率の算定根拠を具体的に明らかにしておらず、評価基準に基づく算定を覆すべき「特別の事情」があるとは直ちに認められない。原審が「特別の事情」の有無を十分に審理・認定せずに、単に評価基準による価格が鑑定額を上回るというだけで違法とした判断には、法令の違反がある。
結論
評価基準に従った価格は適正な時価と推認される。この推認を覆す「特別の事情」があるか否かを更に審理させるため、原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
固定資産税の価格決定を争う際の立証責任の所在を明確にした射程の長い判例。答案では、評価基準に合致している限り行政側の決定は「適正な時価」と強く推定されるため、原告(納税者)側は単に別個の鑑定を出すだけでなく、評価基準自体の不合理性や、当該事案固有の特殊な減価要因(特別の事情)を具体的に主張・立証する必要があることを示す際に用いる。
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…
事件番号: 平成18(行ヒ)179 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。)及び市の土地評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法により市街化区域内の農地,原野及び雑種地の価格が決定された場合において,固定資産評価基準所定の市街化区域内の農地の評価方法等に一般的な合理性があるなど判示の事情の下で…
事件番号: 平成10(行ヒ)41 / 裁判年月日: 平成15年6月26日 / 結論: 棄却
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合には,上記価格の決定は違法となる。 2 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成8年自治省告示第192号による改正前のもの)に定める市街地宅地評価法にのっとり,いわゆる7割評価通達…