固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供され,その調整機能を保持することが上記開発行為の許可条件になっていることを理由に,面積の80%以上に常時水がたまっているなどの当該土地の現況等について十分に考慮することなく,当該土地は宅地である上記商業施設の敷地を維持するために必要な土地であるとして,地目を宅地と認定するなどして算出された上記価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るものではないとした原審の判断には,固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。
固定資産課税台帳に登録された土地の価格について,当該土地が調整池の用に供されその機能を保持することが商業施設に係る開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定するなどして算出された上記価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るものではないとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法349条1項,地方税法388条1項,地方税法403条1項,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)第1章第1節一
判旨
固定資産評価基準における土地の地目認定は、当該土地の現況及び利用目的に重点を置いて判断すべきであり、建物の敷地を維持・効用を果たすために必要な土地といえない限り、開発許可条件として調整池の用に供されていることのみをもって直ちに「宅地」と認定することはできない。
問題の所在(論点)
固定資産評価基準における「宅地」の認定において、開発許可条件として調整池の機能を保持する義務があることが、直ちに「建物の敷地を維持し、又はその効用を果たすために必要な土地」に該当する根拠となるか(地目認定の判断枠組みの適否)。
規範
固定資産評価基準(地方税法403条1項)に基づく地目の認定は、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、土地全体としての状況を観察して行う。地目の一つである「宅地」とは、建物の敷地のほか、これを維持し、又はその効用を果たすために必要な土地を含む。もっとも、開発許可条件として特定の用途(調整池等)に供する義務があるからといって、直ちに当該土地が建物敷地の維持・効用に必要であるとは評価できず、現況を十分に考慮して認定すべきである。
事件番号: 平成28(行ヒ)406 / 裁判年月日: 平成30年7月17日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら,上記街路が同号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に,建築確認を受けることができないために当該土地上に建…
重要事実
上告人は、志摩市所在の土地2筆(本件各土地)の固定資産税納税義務者である。本件各土地は、隣接する商業施設の開発許可条件として洪水調整用の調整池とされ、土地1は面積の80%以上に常時水が溜まり、土地2は平時は従業員用駐車場だが調整池機能を有していた。志摩市長は、本件各土地が「商業施設の敷地維持に必要」として地目を「宅地」と認定し、市街地宅地評価法により登録価格を決定した。上告人は、現況に照らせば地目は「池沼」等であるべきだと主張して決定の取消しを求めた。
あてはめ
本件各土地は、開発行為に伴う洪水調整のために調整池とされ、その機能保持が許可条件となっているが、これは用途制限を受けることを意味するにすぎない。調整池の機能は一般に下流域の洪水防止にあり、商業施設(宅地)自体の維持や効用と直結するものではない。したがって、土地1の80%以上に常時水が溜まっている等の「現況」を十分に考慮せず、開発許可上の条件のみを理由に「宅地」と認定し、宅地評価法を用いた原審の判断には、評価基準の解釈適用の誤りがある。
結論
原判決を破棄し、本件各土地の現況や利用目的に照らして評価基準上の価格を上回らないかを再審理させるため、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
固定資産の地目認定において「現況」を重視する原則を再確認した。特に開発許可に伴う付随的土地(調整池、法面、緑地等)について、主たる建物の敷地と一体不可分な関係にあるか、それとも単なる公法上の制約によるものかを峻別する際の基準として重要である。
事件番号: 平成18(行ヒ)179 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 破棄差戻
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。)及び市の土地評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法により市街化区域内の農地,原野及び雑種地の価格が決定された場合において,固定資産評価基準所定の市街化区域内の農地の評価方法等に一般的な合理性があるなど判示の事情の下で…
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…
事件番号: 令和2(行ヒ)323 / 裁判年月日: 令和4年3月3日 / 結論: 破棄差戻
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について,同期日において当該ゴルフ場用地の周辺の土地は工場等の敷地となっていたという事実関係の下では,当該ゴルフ場用地の取得価額を附近の土地の価額から評定するに当たり,当該ゴルフ場用地の造成前の状態である塩田跡…
事件番号: 平成15(行ヒ)30 / 裁判年月日: 平成18年7月7日 / 結論: 破棄差戻
固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうものであり,これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず,また,一般に,土地の取引価格は,上記の価格以下にとどまるものでなければ正常…