あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しない。 (意見がある。)
あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項と憲法22条1項
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判旨
あん摩マッサージ指圧師の養成施設等の新設等を制限する本件規定は、視覚障害者の保護という重要な公共の利益を目的とするものであり、立法府の判断がその裁量の範囲を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるとはいえないから、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
視覚障害者以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師養成施設の設置等を制限する法19条1項(本件規定)が、憲法22条1項(職業の自由)に違反し違憲とならないか。特に、許可制という強力な制限を伴う経済的弱者の保護を目的とした規制の合憲性判定基準が問題となる。
規範
職業の自由に対する規制が許可制(狭義の職業選択の自由への制約)である場合、その合憲性は、原則として「重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置」であることを要する。もっとも、社会経済等の実態に対する専門的・技術的な評価に基づき、社会福祉等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とする規制については、立法府の合理的裁量を尊重すべきである。したがって、当該規制が憲法22条1項に違反するのは、立法府の判断がその政策的・技術的な裁量の範囲を逸脱し、著しく不合理であることが明白な場合に限られる。
重要事実
専門学校を設置する上告人が、視覚障害者(以下「視障者」)以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師養成施設の認定を申請した。しかし、厚生労働大臣は、視障者である同師の生計維持が著しく困難とならないようにするため必要があるとして、あはき法(法)19条1項(本件規定)に基づき不認定処分(本件処分)を行った。上告人は、同規定が憲法22条1項に違反し無効であると主張して処分の取消しを求めた。統計上、視障者の就業率は低く、あん摩業は重度障害者でも就業可能な主要職種であるが、視障者以外の同師が急増する一方で、視障者の収入は非障害者より顕著に低い状況にあった。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
あてはめ
(1)目的:視障者は従事し得る職業が限られており、あん摩業は古来より視障者の職域として重要な地位を占めてきた。本件規定は経済的弱者である視障者の職域を確保し生計を保護することを目的としており、公共の福祉に合致する重要な公共の利益といえる。(2)手段:養成施設等の新設・定員増を制限することは、視障者以外の同師の急増を抑制する手段として相応の合理性がある。また、本件規定は全面禁止ではなく、大臣が諸事情を勘案し、医道審議会の意見を聴く等、処分の適正さを担保する手続も存する。(3)制限の程度:非障害者であっても既存の養成施設等で教育を受ければ免許取得は可能であり、職業の自由に対する制限は限定的である。以上より、本件規定が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であるとした立法府の判断が、裁量権を逸脱し著しく不合理であるとは認められない。
結論
本件規定は憲法22条1項に違反しない。したがって、本件規定に基づきなされた本件処分は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
「薬局距離制限事件(昭和50年)」以来の許可制に関する違憲審査基準(厳格な合理性の基準)の枠組みを維持しつつも、社会福祉的・積極的な目的を伴う規制においては、立法府の「政策的・技術的な裁量」を広く認め、その判断が「著しく不合理であることが明白」でない限り合憲とする、実質的な緩和された審査基準(明白性の基準に近い裁量尊重)を示したものとして位置づけられる。答案上では、規制の目的が「社会弱者の保護」という積極的目的を含む場合に、裁判所の審査密度が低下する論拠として本判例を引用すべきである。
事件番号: 令和3(行ツ)33 / 裁判年月日: 令和4年3月8日 / 結論: 棄却
不当景品類及び不当表示防止法7条2項は,憲法21条1項,22条1項に違反しない。