一 酒税法九条一項、一〇条一一号は、憲法二二条一項に違反しない。 二 酒類販売業免許の申請に係る小売販売地域が事務所や商店の集中する昼間人口の多い地区であるが、既に酒類販売業免許等取扱要領(平成元年六月一〇日付間酒三―二九五「酒類の販売業免許等の取扱について」国税庁長官通達の別冊)の定める基準人口比率を著しく上回る数の販売場に免許が付与されていることも考慮すると、右取扱要領に従ってされた酒税法一〇条一一号に該当することを理由とする免許の拒否処分は、適法である。
一 酒税法九条一項、一〇条一一号と憲法二二条一項 二 酒類販売業免許の申請に酒税法一〇条一一号に該当する事由があるとしてした免許の拒否処分が適法とされた事例
酒税法9条1項,酒税法10条11号,憲法22条1項
判旨
酒税法に基づく酒類販売業の免許制及び需給調整規定(10条11号)は、酒税の適正かつ確実な徴収という重要な公共の利益を目的とするものであり、立法府の裁量の範囲内として憲法22条1項に違反しない。また、基準人口に基づく免許枠の設定等の運用基準も、客観性・公正性を備える限り合理性を有し、これに従った拒否処分は適法である。
問題の所在(論点)
1. 酒税法における酒類販売業の免許制(9条1項)および需給調整規定(10条11号)は、憲法22条1項に違反するか。 2. 人口を基準に免許枠を定める運用基準(通達)に従ってなされた拒否処分は、裁量権の逸脱・濫用として違法となるか。
規範
1. 職業の自由を制限する法律の合憲性は、立法目的が正当であり、その制限が目的達成の手段として必要かつ合理的であるかによって判断される。酒税徴収の確保という重要な公共的利益のため、需給調整を行うことは立法府の政策的・技術的な裁量の範囲を逸脱せず、合理的である。 2. 運用基準(通達)による免許制限については、それが当該地域における供給過剰を客観的かつ公正に認定するものであり、かつ事案に応じた弾力的な運用の余地を残している場合には、合理的な認定方法として認められる。
事件番号: 昭和63(行ツ)56 / 裁判年月日: 平成4年12月15日 / 結論: 棄却
酒税法九条、一〇条一〇号は、憲法二二条一項に違反しない。 (補足意見及び反対意見がある。)
重要事実
上告人は酒類小売業免許を申請したが、税務署長(被上告人)は、当時の国税庁長官通達(平成元年取扱要領)に基づき、当該地域の免許枠が既に飽和状態(基準人口比率に対し既存店舗数が大幅に超過)であることを理由に拒否処分(本件処分)を行った。上告人は、酒税法の免許制および需給調整規定が憲法22条1項に違反し、また本件運用基準も不当であるとして処分の取消しを求めた。
あてはめ
1. 酒税は国税収入において重要な地位を占め、免許制は代金回収を確実にし税負担の転嫁を円滑にする目的があり、正当である。需給調整規定も供給過剰による経営悪化と税徴収への支障を防ぐ手段として合理性がある。 2. 本件運用基準は、統計に基づく実態に即した基準人口を用いており、恣意を排し客観性を確保している。また、特例地区の設定など柔軟な運用の余地も持たされている。 3. 本件地域は昼間人口が多い等の特例事情の検討を要するものの、既存店舗数が基準を著しく上回っている事実を鑑みれば、基準を適用して免許を付与しなかった判断は合理性を有する。
結論
酒税法の規定は憲法22条1項に違反せず、また本件運用基準に基づく拒否処分も、合理的な基準に合致するものとして適法である。
実務上の射程
小売市場の独占や競争制限を目的とした「積極的・社会経済政策的目的」による規制(薬局距離制限事件等)とは異なり、本判決は「税収確保(財政目的)」を重視し、立法府の広い裁量を認めた点に特徴がある。ただし、需給調整という「間接的な手段」を用いる以上、基準を機械的に適用せず弾力的に運用すべきであるとの留保も示しており、裁量権審査の密度において参考となる。
事件番号: 平成6(行ツ)76 / 裁判年月日: 平成10年3月26日 / 結論: 棄却
酒税法九条一項、一〇条一〇号と憲法二二条一項に違反しない。
事件番号: 平成6(行ツ)111 / 裁判年月日: 平成10年7月3日 / 結論: 破棄差戻
一 酒類販売業免許の申請をした会社の免許拒否処分当時までの経営実績が、創業当初の二事業年度にはそれぞれわずかな損失金を出したものの、その後の二事業年度にはそれぞれわずかではあるが利益を計上し、未処理損失金も解消されたというものであったなど判示の事実関係の下においては、右業績の回復が右会社が代表者個人から賃借している店舗…
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。