薬事法六条二項、四項(これらを準用する同法二六条二項)は、憲法二二条一項に違反する。
薬事法六条二項、四項(これらを準用する同法二六条二項)と憲法二二条一項
憲法22条1項,薬事法6条2項,薬事法6条4項,薬事法26条2項
判旨
薬事法が定める薬局等の適正配置規制は、国民の健康保護という消極的目的のための規制であるが、その必要性と合理性が認められず、憲法22条1項に違反して無効である。
問題の所在(論点)
薬事法が定める薬局等の適正配置規制(距離制限)が、憲法22条1項(職業選択の自由)に違反し違憲無効となるか。
規範
職業の自由に対する規制が合憲といえるためには、規制の目的、必要性、内容、制限される自由の性質や程度を比較考量すべきである。特に、消極的・警察的目的による許可制(職業選択の自由の制限)については、重要な公共の利益のために必要かつ合理的であることを要し、より緩やかな制限である職業活動の内容・態様に対する規制(行使の自由の制限)では目的を十分に達成できない場合に限定される。
重要事実
上告人が広島県知事に対し、改正薬事法に基づき医薬品一般販売業の許可申請を行ったところ、同法6条2項等および県条例が定める「既存の薬局等から一定の距離(100m等)を置かなければならない」という適正配置基準に抵触することを理由に不許可処分を受けた。上告人は、当該配置規制が憲法22条1項に違反すると主張して処分の取消しを求めた。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
あてはめ
本規制の主目的は過当競争による経営不安定化に伴う不良医薬品の供給防止(消極的目的)にある。しかし、①薬事法上の業務規制や薬事監視員による行政監督によって不良医薬品の流通防止は可能であり、経営不安が直ちに法規違反に直結するという因果関係は観念上の想定にすぎない。また、②無薬局地域の解消という副次的目的についても、距離制限による間接的促進効果は疑問であり、他の手段による達成が可能である。したがって、職業選択の自由に対する強力な制限である許可制の内容として、本規制が必要かつ合理的であるとは認められない。
結論
薬局等の適正配置を許可条件とする薬事法6条2項、4項等は、憲法22条1項に違反し無効である。よって、これに基づく不許可処分は違法として取り消されるべきである。
実務上の射程
消極目的規制(警察規制)における厳格な合理性の基準(薬事法判決の枠組み)を確立した重要判例。答案では「目的二分論」を前提に、目的が消極的な場合は、手段の必要性・合理性(より緩やかな制限手段の有無)を厳格に審査する際の規範として用いる。
事件番号: 令和3(行ツ)73 / 裁判年月日: 令和4年2月7日 / 結論: 棄却
あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しない。 (意見がある。)