死刑の量刑が維持された事例(連続青酸不審死事件)
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
判旨
死刑の選択が許容されるか否かは、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、被告人の年齢や前科等の諸事情を総合考慮し、罪責が極めて重大でやむを得ない場合に認められる。本件では、遺産取得等の動機に酌むべき点はなく、信頼を利用した計画的・冷酷な犯行態様により3名の命を奪った責任は極めて重大であり、死刑判決は是認される。
問題の所在(論点)
死刑の選択が、刑法11条および憲法31条、36条等の趣旨に照らし、被告人の諸事情を考慮してもなお「やむを得ない」として是認されるか。
規範
死刑の適用に際しては、いわゆる永山基準(最判昭58.7.8)に基づき、①犯行の性質、②動機、③態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、④結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、⑤遺族の処罰感情、⑥社会的影響、⑦被告人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡の見地からも一般予防の見地からも死刑の選択がやむを得ないといえる場合に限り、死刑を選択することができる。
重要事実
被告人は、債務免脱目的で知人にシアン化合物を服用させた強盗殺人未遂1件と、遺産取得目的で当時の夫や内縁の夫ら3名に同剤を服用させた殺人3件に問われた。被告人は結婚相談所を通じて高齢の被害者らと知り合い、信頼関係を築いた上で、猛毒をカプセルに入れて服用させるという計画的かつ巧妙な手法を用いた。結果、6年間で4回にわたり反復累行し、3名を殺害、1名に全治不能の高次機能障害を負わせた。
あてはめ
まず、遺産取得等の動機に酌むべき点はなく、信頼に乗じて猛毒を服用させる態様は強固な殺意に基づく冷酷なものといえる。次に、約6年間に4回という反復性は顕著な人命軽視の態度を示す。さらに、3名の生命を奪い1名に重篤な傷害を負わせた結果は極めて重大であり、遺族の処罰感情も峻烈である。これらの事情(上記①〜⑥)に照らせば、被告人に前科がなく高齢であること(上記⑦⑧)等の有利な事情を考慮しても、その刑事責任は極めて重大であると評価される。
事件番号: 平成13(あ)1401 / 裁判年月日: 平成17年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の極めて重大な罪を犯した被告人に対し、犯行の態様が冷酷かつ残忍で結果が甚大であり、前科関係や動機にも酌むべき点がない場合、不遇な成育歴等の事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、約半月の間にスナック等の女性経営者計4名を窒息死または失血死させて現金を強奪する…
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、死刑の科刑はやむを得ないものとして是認される。本件上告を棄却する。
実務上の射程
多数の殺人・殺人未遂が併合罪となる事案において、死刑選択の妥当性を判断する際の具体的考慮要素(信頼関係の悪用、反復性、結果の重大性等)を示す事例。死刑制度の合憲性については既確立の判例を再確認している。
事件番号: 昭和50(あ)189 / 裁判年月日: 昭和53年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の動機、態様、残虐性、結果の重大性、社会的影響等の諸般の事情を慎重に考慮し、その刑責が極めて重大であると認められる場合には、死刑を選択することもやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、一人暮らしの老人等を短期間に連続して襲撃した。犯行内容は、1件の強盗、1件の強盗未遂…