判旨
死刑の量刑が妥当か否かは、犯行の態様、動機、社会的影響、遺族の感情、被告人の性格や犯行後の情状等を総合的に考慮して判断される。強盗殺人において、当初から殺意を有し残忍な方法で殺害した等の事情がある場合、死刑判決の維持はやむを得ない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法411条2号(刑の量定が著しく不当であること)に関し、計画的かつ残虐な強盗殺人事案において、被告人両名を死刑に処した原判決が、著しく正義に反するものとして破棄すべきか否か。
規範
死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、①犯行の性質(計画性、殺意の有無、殺害方法の残虐性等)、②動機、③社会的影響(事犯の重大性)、④被害者遺族の感情、⑤被告人の属性(反社会的性格、前科等)、⑥犯行後の情状(反省の有無等)を総合的に勘案する。これらを慎重に検討した結果、第一審・控訴審の量刑が「やむを得ない」と認められる場合には、刑の量定を不当として破棄することはできない。
重要事実
被告人AおよびBは、Cと共謀し、タクシー運転手を殺害して金品を強奪することを計画。最初から殺意を持ってタクシーに乗り込み、三人で協力して老運転手の首をバンドで締め、命乞いを無視してさらに締め上げた上で金品を強取した。さらに、被害者が存命であると知るや、発覚を恐れて肥溜に頭から投げ入れ、窒息死させて逃走した。被告人らは犯行後も反省せず、さらなる強盗を企図していた。
あてはめ
本件は、当初から殺意を抱き周到に準備された計画的犯行である。実行行為も、抵抗力のない高齢者に対し三人で襲いかかり、執拗に首を絞めた上、未だ呼吸のある被害者を肥溜に投げ入れるという極めて残忍かつ冷酷な態様といえる。動機に同情の余地はなく、犯行後も更なる犯行を計画するなど反省の色も見られない。これらの事実から被告人の著しい反社会的性格が認められ、遺族の感情や社会的影響を考慮しても、死刑の選択は「まことにやむを得ない」ものと評価される。
結論
被告人両名を死刑とした原判決の量刑は相当であり、これを不当として破棄しなければ著しく正義に反するとは認められない。上告棄却。
事件番号: 昭和50(あ)189 / 裁判年月日: 昭和53年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の動機、態様、残虐性、結果の重大性、社会的影響等の諸般の事情を慎重に考慮し、その刑責が極めて重大であると認められる場合には、死刑を選択することもやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、一人暮らしの老人等を短期間に連続して襲撃した。犯行内容は、1件の強盗、1件の強盗未遂…
実務上の射程
永山基準(最判昭58.7.8)が示される以前の判例であるが、死刑選択において考慮すべき要素(犯行態様、動機、情状等)を総合的に判断する実務上の枠組みを示している。答案上は、強盗殺人罪等の重罪において死刑・無期懲役の選択が問題となる際、犯行の計画性や残虐性を具体的事実から抽出して量刑の正当性を論じる際の指標となる。
事件番号: 昭和52(あ)771 / 裁判年月日: 昭和54年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の合憲性及び量刑における死刑選択の許容性 第1 事案の概要:被告人Bが被害者C一家への憎悪・復讐心から被告人Aを誘い入れ、両名が共謀。凶器を準備して白昼に被害者宅へ押し入り、翌朝まで留まって家人4名と訪問客1名の計5名を殺害し、金品を強取した。Aは主導的役割ではないが、その加功により犯行が遂行…