死刑事件(上野消火器商一家五人殺し)
判旨
死刑の合憲性及び量刑における死刑選択の許容性
問題の所在(論点)
死刑制度の合憲性、及び共謀の上で一家ら5名を殺害した強盗殺人被告事件において、従属的立場にあり反省を示している被告人に対しても死刑を科すことが許されるか(刑罰の量定)。
規範
死刑は憲法13条、14条、36条に違反しない。また、死刑を選択すべきか否かの判断においては、犯行の動機、犯行の態様(特に殺害の手段方法の執拗性・残忍性)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の役割・反省の程度等の諸般の情状を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であると認められる場合には、死刑の選択も許容される。
重要事実
被告人Bが被害者C一家への憎悪・復讐心から被告人Aを誘い入れ、両名が共謀。凶器を準備して白昼に被害者宅へ押し入り、翌朝まで留まって家人4名と訪問客1名の計5名を殺害し、金品を強取した。Aは主導的役割ではないが、その加功により犯行が遂行された。Aは現在、真摯な反省を重ねている。
あてはめ
まず、動機は復讐という身勝手なものであり、白昼に押し入り長時間拘束して5名を殺害する態様は執拗かつ残忍である。5名の生命を奪った結果は極めて重大であり、遺族の感情や社会的影響も無視できない。被告人Aは主導的ではないが、不可欠な役割を果たしており、真摯な反省等の有利な事情を考慮しても、その刑責は特に軽くはならないといえる。
結論
被告人両名を死刑に処した第一審判決を維持した原判決は、諸般の情状に照らして相当であり、死刑を選択することは許容される。
実務上の射程
多数の被害者を生じさせた重大な凶悪犯罪(強盗殺人等)における量刑判断基準。特に、共犯者間での役割の差や反省の情といった有利な事情がある場合でも、犯行態様や結果の重大性がそれを上回れば死刑が維持される実務上の指針となる。
事件番号: 昭和39(あ)454 / 裁判年月日: 昭和39年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が妥当か否かは、犯行の態様、動機、社会的影響、遺族の感情、被告人の性格や犯行後の情状等を総合的に考慮して判断される。強盗殺人において、当初から殺意を有し残忍な方法で殺害した等の事情がある場合、死刑判決の維持はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、Cと共謀し、タクシー運転手…
事件番号: 平成21(あ)776 / 裁判年月日: 平成24年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】2名の命を奪った強盗殺人事件において、計画性、犯行態様の残虐性、結果の重大性、遺族の処罰感情、及び犯後の情状を総合考慮し、死刑の選択を是認した事例。 第1 事案の概要:被告人は、強盗目的で知人宅を訪れ、凶器(鈍体及び緊縛用の針金)を準備した上で、知人夫婦(2名)を相次いで襲撃した。犯行態様は、頭部…
事件番号: 昭和62(あ)562 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に当たらず合憲であり、死刑の適用は、罪質、動機、態様、結果の重大性等の諸情状を併せ考察し、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、保険金目的で2名を殺害(海中への突き落とし及び鉄棒での殴打…