死刑の量刑が維持された事例(埼玉・本庄の知人夫婦強盗殺人事件)
判旨
2名の命を奪った強盗殺人事件において、計画性、犯行態様の残虐性、結果の重大性、遺族の処罰感情、及び犯後の情状を総合考慮し、死刑の選択を是認した事例。
問題の所在(論点)
殺害された被害者が2名であり、被告人に死刑の前科がない場合において、死刑の選択が許されるか。刑法11条(死刑)の適用における量刑判断の妥当性が問題となる。
規範
死刑の選択の適否については、犯行の性質、動機、態様、特に殺意の強弱、殺害の方法の執拗性・残虐性、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ないといえる場合に、死刑の選択が許される(永山基準)。
重要事実
被告人は、強盗目的で知人宅を訪れ、凶器(鈍体及び緊縛用の針金)を準備した上で、知人夫婦(2名)を相次いで襲撃した。犯行態様は、頭部や顔面の複数箇所を骨折させるほど多数回殴打し、執拗かつ残虐に殺害して現金を強取したものである。被告人は前科こそ罰金刑のみであったが、犯行後は証拠隠滅を図り、公判でも強盗目的の否認や不合理な弁解を行うなど、真摯な反省は見られなかった。
あてはめ
まず、あらかじめ凶器を準備して知人宅を訪れている点から、計画性が認められる。次に、被害者2名に対し、顔面が粉砕骨折するほどの激しい暴行を加え、一人は緊縛した上で殺害しており、態様は極めて執拗かつ残虐である。結果として、落ち度のない2名の尊い生命が奪われたことは極めて重大である。被告人の反省の言葉は不合理な弁解を伴うもので不十分であり、遺族の処罰感情も峻烈である。これらの事情は、被告人に罰金前科しかないこと等の有利な事情を考慮してもなお、刑事責任を極めて重大なものとしているといえる。
事件番号: 平成21(あ)2078 / 裁判年月日: 平成24年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない。死刑の適用については、殺害自体が計画的でないことや自首・反省等の事情を考慮しても、犯行の残虐性、結果の重大性、前科等の事情に照らし、刑事責任が極めて重大な場合には是認される。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、路上で留学生からバッグを強奪し…
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、一、二審の死刑判決を維持し、上告を棄却した(死刑の選択は相当である)。
実務上の射程
被害者が2名の場合であっても、計画性があり、かつ態様が執拗・残虐な強盗殺人であれば、前科が軽微なものであっても死刑が選択される傾向を裏付ける。特に、凶器の準備や犯行後の不合理な供述が、死刑を回避すべき事情(反省等)を否定する要素として重視される。
事件番号: 平成27(あ)120 / 裁判年月日: 平成29年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高齢者夫婦を殺害し金品を奪取した強盗殺人等の事案において、殺害の態様が冷酷かつ悪質であり、2名の生命を奪った結果が極めて重大である場合、当初からの殺害意図の欠如や前科関係等の事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は債務弁済のため、以前の仕事を通じて生活状況を把握して…
事件番号: 平成15(あ)894 / 裁判年月日: 平成18年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用が許容される基準(いわゆる永山基準)の提示 第1 事案の概要:被告人は、拳銃を窃取して所持し、約1ヶ月の間に4名を射殺した。犯行は計画的かつ執拗であり、被害者らに落ち度はない。遺族の被害感情は峻烈であり、社会に与えた恐怖も甚大である。一方で、犯行当時、被告人は19歳の未成年であり、家庭環…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…