死刑の量刑が維持された事例(大阪ドラム缶遺体事件)
刑法11条,刑法240条後段,刑訴法411条2号,刑訴法411条3号
判旨
高齢者夫婦を殺害し金品を奪取した強盗殺人等の事案において、殺害の態様が冷酷かつ悪質であり、2名の生命を奪った結果が極めて重大である場合、当初からの殺害意図の欠如や前科関係等の事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑選択の許容性(刑法11条、刑訴法411条2号、永山基準の適用)。
規範
死刑の選択にあたっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑均衡の見地からも一般予防の見地からも極めて刑の執行を免れないと認められる場合に、やむを得ないものとして許容される(永山基準)。
重要事実
被告人は債務弁済のため、以前の仕事を通じて生活状況を把握していた高齢夫婦の財産を狙い、重量のある鈍器で両名の頭部を殴打して短時間で絶命させ、200万円超の金品を奪った。犯行後、遺体をドラム缶に入れガレージ内に隠匿・放置した。被告人には罰金前科があるのみで、当初からの明確な殺害意図までは認められない。裁判では不合理な弁解を続け、反省の態度を示していない。
あてはめ
まず、2名の生命を奪った結果は極めて重大である。態様面でも、重量のある鈍器で頭部を殴打し短時間で絶命させており、強固な殺意に基づく冷酷かつ悪質なものといえる。動機も200万円超の金品奪取を目的とした利欲的なものであり、計画性も認められる。死体隠匿という事後状況や遺族の峻烈な処罰感情、不合理な弁解を続ける反省の乏しさも被告人に不利な事情である。当初からの殺害意図の不存在や罰金前科のみという有利な事情を考慮しても、これら負の事情を凌駕するとはいえず、刑事責任は極めて重大であると評価される。
事件番号: 平成25(あ)1127 / 裁判年月日: 平成27年2月3日 / 結論: 棄却
殺人等の罪により懲役20年の刑に服した前科がある被告人が被害者1名を殺害した住居侵入,強盗殺人の事案において,本件犯行とは関連が薄い前記前科があることを過度に重視して死刑に処した裁判員裁判による第1審判決の量刑判断が合理的ではなく,被告人を死刑に処すべき具体的,説得的な根拠を見いだし難いと判断して同判決を破棄し無期懲役…
結論
被告人に対し死刑を処した第一審判決を維持した原判決は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
被害者が2名の事案において、計画性、殺意の強固さ、態様の残虐性、利欲的動機が揃う場合には、初犯に近い前科関係や確定的な殺害計画の欠如があっても、死刑判決が維持される可能性が高いことを示した。
事件番号: 平成2(あ)1110 / 裁判年月日: 平成8年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重く、やむを得ない場合に認められる。自首や反省等の被告人に有利な事情を考慮しても、犯行の計画性や残虐性が著しい場合には死刑判決を是認できる。 第1 事案の概…
事件番号: 平成21(あ)776 / 裁判年月日: 平成24年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】2名の命を奪った強盗殺人事件において、計画性、犯行態様の残虐性、結果の重大性、遺族の処罰感情、及び犯後の情状を総合考慮し、死刑の選択を是認した事例。 第1 事案の概要:被告人は、強盗目的で知人宅を訪れ、凶器(鈍体及び緊縛用の針金)を準備した上で、知人夫婦(2名)を相次いで襲撃した。犯行態様は、頭部…
事件番号: 平成27(あ)1585 / 裁判年月日: 平成30年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断において、殺害の計画性の欠如や前科がない等の有利な事情を考慮しても、犯行態様の残虐性、結果の重大性、動機に酌量の余地がない場合には、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は窃盗の罰金刑の資金を得るため、金品窃取目的でA方に侵入。物色中に発見されたため強取を決意し、A(57歳…
事件番号: 平成30(あ)318 / 裁判年月日: 令和2年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人のパーソナリティ障害の特性が、殺害行為の態様等に影響を及ぼしていたとしても、強盗の決意や現場への滞在、殺害の実行自体が被告人の意思に基づくものである以上、2名の命を奪った結果の重大性に鑑みれば、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、生活苦から強盗を決意し、2度にわたり深夜の…