死刑の量刑が維持された事例(宮崎の強盗殺人等事件)
判旨
死刑の適用が許容される基準(いわゆる永山基準)の提示
問題の所在(論点)
刑法11条(死刑)の適用基準、及び未成年者に対する死刑選択の可否が、憲法31条(適正手続)等に照らして問題となる。
規範
死刑は、極めて慎重に適用されるべきであるが、その罪責が誠に重大であって、罪に相当する処罰の観点からも、また、一般予防の観点からも、極めてやむを得ない場合には、適用が許容される。その判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を総合的に考慮し、その刑の適正を判断すべきである。
重要事実
被告人は、拳銃を窃取して所持し、約1ヶ月の間に4名を射殺した。犯行は計画的かつ執拗であり、被害者らに落ち度はない。遺族の被害感情は峻烈であり、社会に与えた恐怖も甚大である。一方で、犯行当時、被告人は19歳の未成年であり、家庭環境が不遇であったこと等の情状も認められる。
あてはめ
まず、犯行態様は至近距離から急所を狙い撃つなど冷酷かつ残虐であり、4名もの尊い命が失われた結果は極めて重大といえる。動機に酌量の余地はなく、計画性も認められることから、刑事責任は誠に重大である。被告人が未成年であったことや生育環境等の有利な事情を考慮しても、被害者数や犯行の性質に照らせば、極刑をもって臨むこともやむを得ないと解される。よって、原判決(無期懲役)は軽きに失し、死刑を選択した判断は不当ではない。
結論
本件における死刑の選択は適法であり、原判決を破棄して更生・審理を尽くさせるため、控訴審へ差し戻す。
実務上の射程
被害者が複数である場合、特に4名以上の殺害が認められる場合には、他の情状を考慮しても死刑の適用が強く肯定される。本基準は、その後の死刑選択の判断において不可欠な総合評価の枠組み(永山基準)として機能している。
事件番号: 平成17(あ)1901 / 裁判年月日: 平成21年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度と憲法13条、31条、36条の適合性、及び死刑選択の基準(いわゆる永山基準)。 第1 事案の概要:被告人は当時19歳の少年であったが、計4名を相次いで射殺(連続ピストル射撃事件)。犯行態様は至近距離から確実な殺意をもって行われた冷酷かつ非情なものである。動機に酌むべき点はなく、4名もの尊い…
事件番号: 平成18(あ)417 / 裁判年月日: 平成20年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、事案の性質、犯行の態様・結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って許される。 第1 事案の概要:被告人は、暴力団…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…