死刑の量刑が維持された事例(右翼強盗殺人事件)
判旨
死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑制度の憲法適合性、および複数の殺害行為を伴う強盗殺人等の事案において、第一審の無期懲役判決を破棄して死刑を選択した原判決の量刑が、いわゆる永山基準に照らして妥当か。
規範
死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(殺害された被害者数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考察し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも一般予防の見地からも死刑の選択がやむを得ないといえる場合に許される。
重要事実
被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2年後、金品奪取目的で別の男性を駐車場におびき出し、同様に絞殺して約1200万円を強奪し死体を湖に投棄した。被告人は(1)の首謀者であり、(2)でも殺害の実行行為を担当するなど不可欠な役割を果たした。一方で、(1)の被害者の言動に問題があったこと、前科がなく反省の情を示していること、500万円を預託し慰謝の努力をしていること等の情状があった。
あてはめ
まず、死刑制度自体は憲法13条、31条、36条に違反しない(判例)。本件は、周到な準備に基づく計画的・組織的犯行であり、背後から長時間頸部を絞め続ける殺害態様は執拗かつ残虐である。2名の生命を奪った結果は極めて重大であり、遺族の処罰感情も峻烈である。被告人は首謀者または実行の中核を担っており、刑事責任は極めて重い。被害者の言動や被告人の更生可能性、慰謝の努力といった有利な事情を考慮しても、罪刑の均衡および一般予防の観点から、死刑の選択は免れない。
事件番号: 平成15(あ)600 / 裁判年月日: 平成18年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪に問われた被告人に対し、犯行の残虐性、結果の重大性、および動機の身勝手さを重視し、死刑に処した一審判決を維持した原判決は、量刑の衡平を欠くものではなく相当である。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者2名と共謀のうえ、金品強取の目的で、何ら落ち度のない女性2名を絞殺した。犯行は計画的か…
結論
無期懲役とした第一審判決を破棄し、被告人を死刑に処した原判断は正当であり、是認できる。
実務上の射程
死刑選択の判断枠組み(永山判決)を再確認する事例である。殺害された被害者が2名の場合、犯行の計画性や態様の残虐性、被告人の役割が決定的な要素となる。第一審の無期判決が控訴審で死刑へ変更される際の考慮要素を検討する際の指標となる。
事件番号: 平成24(あ)646 / 裁判年月日: 平成26年9月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】3名を殺害した強盗殺人等の事案において、被告人が動機等に酌むべき事情を有し従属的な立場にあったとしても、犯行の重要かつ不可欠な役割を果たし結果が極めて重大であるときは、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、日常的に暴力を受けていた勤務先の会長らに対し恨みを抱く同僚Aに同調し、Aら…
事件番号: 平成13(あ)1173 / 裁判年月日: 平成18年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条、98条2項に違反せず、殺害の態様が冷酷かつ残忍で結果が重大な強盗殺人等の事案においては、前科がない等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者らと共に、(1)会社事務所からの金庫窃盗および古美術店経営者宅での強盗を行い、(…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…