死刑の量刑が維持された事例(名古屋の2女性強盗殺人等事件)
判旨
強盗殺人等の罪に問われた被告人に対し、犯行の残虐性、結果の重大性、および動機の身勝手さを重視し、死刑に処した一審判決を維持した原判決は、量刑の衡平を欠くものではなく相当である。
問題の所在(論点)
死刑の選択が許されるための判断枠組み(永山基準)に基づき、本件の犯情および諸般の事情が、極刑を選択せざるを得ないほどに重大といえるか。
規範
死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗さや残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ない場合にのみ許される。
重要事実
被告人は、共犯者2名と共謀のうえ、金品強取の目的で、何ら落ち度のない女性2名を絞殺した。犯行は計画的かつ冷酷な態様で行われ、被害者の生命を奪うという取り返しのつかない重大な結果を生じさせた。さらに、犯行後には遺体を遺棄して証拠隠滅を図るなど、その犯行後の情状も極めて悪い事案であった。
あてはめ
まず、2名の生命を奪った結果は極めて重大である。犯行態様は、無抵抗の女性を窒息死させるという非道かつ残虐なものであり、利欲目的という動機に酌量の余地はない。被告人は共犯者らと密接に協力して主導的な役割を果たしており、責任を転嫁することはできない。また、被害者遺族の処罰感情も峻烈である。これらの事実を総合すると、被告人の刑事責任は誠に重大であり、更生の可能性等の諸事情を考慮しても、死刑の選択を是認せざるを得ない。
結論
被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判決の判断は、正当として是認できる。
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
実務上の射程
死刑存置を前提とする現行法下における、量刑判断の枠組み(いわゆる永山基準)の具体的な適用事例である。特に、被害者が2名の場合であっても、犯行の残虐性や計画性が高い場合には死刑が選択される実務の傾向を示すものとして、答案上は量刑の相当性を論じる際の指標となる。
事件番号: 平成1(あ)655 / 裁判年月日: 平成7年7月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の科刑は、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって、罪責と刑罰の均衡、一般予防の見地からやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、巨額の負債を抱えていたことから、共犯者と共…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
事件番号: 平成15(あ)894 / 裁判年月日: 平成18年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用が許容される基準(いわゆる永山基準)の提示 第1 事案の概要:被告人は、拳銃を窃取して所持し、約1ヶ月の間に4名を射殺した。犯行は計画的かつ執拗であり、被害者らに落ち度はない。遺族の被害感情は峻烈であり、社会に与えた恐怖も甚大である。一方で、犯行当時、被告人は19歳の未成年であり、家庭環…
事件番号: 平成12(あ)317 / 裁判年月日: 平成16年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】2名の命を奪った強盗殺人等の事案において、冷酷かつ残虐な犯行態様、重大な結果、及び十分な反省が見られないこと等の諸事情を考慮し、死刑の選択を是認した。 第1 事案の概要:被告人は、路上で認めた浮浪者風の男性(第2事件)及び元同僚(第4事件)に対し、親切を装い睡眠薬を服用させて昏睡状態に陥れた上で、…