死刑の量刑が維持された事例(滋賀の連続強盗殺人等事件)
判旨
2名の命を奪った強盗殺人等の事案において、冷酷かつ残虐な犯行態様、重大な結果、及び十分な反省が見られないこと等の諸事情を考慮し、死刑の選択を是認した。
問題の所在(論点)
殺害された被害者が2名であり、被告人に人格障害や性嗜好異常が認められる状況において、死刑の選択(刑訴法411条2号の適用の是非)が社会通念上やむを得ないものとして是認されるか。
規範
死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考慮し、罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に許される(永山基準の踏襲)。
重要事実
被告人は、路上で認めた浮浪者風の男性(第2事件)及び元同僚(第4事件)に対し、親切を装い睡眠薬を服用させて昏睡状態に陥れた上で、窒息死又は薬物による脳幹麻痺等により殺害し、金品を強取した。さらに、罪証隠滅のため死体を鋸等で切断・損壊して遺棄した。これらの犯行をわずか3か月足らずの間に重ね、その間には別の被害者に対する準強盗未遂事件(第3事件)も引き起こしていた。
あてはめ
まず、犯行態様は睡眠薬で抵抗不能にした上で殺害し死体を切断するという冷酷、非情かつ残虐なものであり、極めて悪質である。次に、短期間に2名の生命を奪った結果は重大であり、未遂に終わった第3事件も重大な結果を招く危険性があった。被告人の人格障害等は完全な責任能力を否定するものではなく、責任軽減事由にもならない。さらに、遺族の被害感情が峻烈であることや、被告人に十分な反省が見られないことを考慮すれば、罰金前科のみである等の有利な事情を最大限考慮しても、極刑の選択を回避すべき決定的理由にはならない。
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
結論
被告人の罪責は誠に重大であり、死刑に処した第1審判決を維持した原判決の量刑は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
被害者が2名であっても、犯行の計画性、残虐性、反復性、及び犯行後の死体損壊という悪質な情状が重なる場合には、死刑の選択が強く肯定されることを示す事例。精神障害(人格障害)が責任能力や量刑に与える影響についても、犯行の合目的性や制御能力が認められる限り限定的であるとする実務の傾向を裏付けている。
事件番号: 平成15(あ)600 / 裁判年月日: 平成18年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪に問われた被告人に対し、犯行の残虐性、結果の重大性、および動機の身勝手さを重視し、死刑に処した一審判決を維持した原判決は、量刑の衡平を欠くものではなく相当である。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者2名と共謀のうえ、金品強取の目的で、何ら落ち度のない女性2名を絞殺した。犯行は計画的か…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 平成10(あ)413 / 裁判年月日: 平成11年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合考慮すべきである。本件は強盗殺人等の重罪であるが、犯行の計画性が不十分であることや被告人の更生可能性、前科のない経歴を考慮し、無期懲役を維持した原判決は相当である。 第1 …
事件番号: 平成8(あ)482 / 裁判年月日: 平成12年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて悪質かつ重大な結果を招いた強盗殺人等の事案において死刑を科すことは、諸般の事情を考慮しても是認される。 第1 事案の概要:被告人は、実兄と共謀の上、一人暮らしの従弟(36歳)をビニールひもで緊縛・絞殺して権利証等を強取し、死体を海浜に遺棄した(…