死刑の量刑が維持された事例(宮城の貸金業者強盗殺人等事件)
判旨
死刑制度と憲法13条、31条、36条の適合性、及び死刑選択の基準(いわゆる永山基準)。
問題の所在(論点)
1. 死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反するか。 2. どのような基準(考慮要素)に基づき死刑を選択すべきか(死刑選択の許容性)。
規範
死刑制度は、公共の福祉による制限の範囲内であり、適正な手続を定める法律に基づく限り憲法13条、31条に違反せず、その執行方法が人道上残虐でない限り36条の「残虐な刑罰」にも当たらない。死刑の選択に当たっては、①犯罪の性質、②犯行の態様、③犯行の動機、④殺害された被害者の数(特に重視される)、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状を総合考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑均衡の観点からも一般予防の観点からもやむを得ない場合に限られる。
重要事実
被告人は当時19歳の少年であったが、計4名を相次いで射殺(連続ピストル射撃事件)。犯行態様は至近距離から確実な殺意をもって行われた冷酷かつ非情なものである。動機に酌むべき点はなく、4名もの尊い生命が奪われた結果は極めて重大である。遺族の被害感情も峻烈であり、社会に与えた不安や衝撃も大きい。被告人の成育環境に不遇な面があり、公判中に反省の態度を示しているものの、これらを考慮しても罪責は免れない。
あてはめ
まず、憲法判断として、国民の生命は尊貴であるが公共の福祉による制限を免れず、現行法下の死刑は違憲ではない。次に選択基準について、被害者が4名という結果は極めて重く(④)、犯行態様も残虐・執拗である(②)。少年であったことや不遇な境遇(⑦⑨)を考慮しても、4名の生命を奪ったという客観的責任の重大性は、他の情状による減軽の余地を著しく制限する。したがって、本件は罪刑均衡及び一般予防の観点から、死刑の選択がやむを得ない場合に該当するといえる。
事件番号: 平成15(あ)894 / 裁判年月日: 平成18年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用が許容される基準(いわゆる永山基準)の提示 第1 事案の概要:被告人は、拳銃を窃取して所持し、約1ヶ月の間に4名を射殺した。犯行は計画的かつ執拗であり、被害者らに落ち度はない。遺族の被害感情は峻烈であり、社会に与えた恐怖も甚大である。一方で、犯行当時、被告人は19歳の未成年であり、家庭環…
結論
死刑制度は合憲である。また、本件の犯行の罪責は極めて重大であり、諸般の事情を総合考慮すると、原判決(無期懲役)を破棄し死刑を選択した控訴審判決は正当として是認できる。
実務上の射程
本判決が示した9つの要素は「永山基準」として、その後の裁判実務における死刑選択の確固たる枠組みとなった。特に被害者数(殺害人数)が重要なメルクマールとして機能しているが、単なる数合わせではなく、犯行態様の悪質性や動機との総合評価が求められる点に実務上の意義がある。
事件番号: 平成11(あ)591 / 裁判年月日: 平成16年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法13条、31条、36条に違反しない。死刑の選択にあたっては、罪質、動機、犯行態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であると認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人両名は共犯者…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 平成18(あ)417 / 裁判年月日: 平成20年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、事案の性質、犯行の態様・結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って許される。 第1 事案の概要:被告人は、暴力団…
事件番号: 平成10(あ)39 / 裁判年月日: 平成11年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人を含む重大な事案であっても、犯行の計画性の欠如や前科のない真面目な生活歴、反省悔悟の情といった被告人側の事情を総合考慮し、無期懲役を選択した一審判決を維持した二審の判断は、死刑を選択すべき事案であっても量刑不当として破棄されるべきものとはいえない。 第1 事案の概要:被告人は借金返済等のた…