死刑の量刑が維持された事例(スナック経営者連続殺人事件)
判旨
強盗殺人等の極めて重大な罪を犯した被告人に対し、犯行の態様が冷酷かつ残忍で結果が甚大であり、前科関係や動機にも酌むべき点がない場合、不遇な成育歴等の事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。
問題の所在(論点)
刑法11条、199条、240条後段に基づく死刑の選択において、4名の殺害という結果の重大性や残虐な犯行態様、再犯性の高さがある場合に、被告人の不遇な生い立ちや中止未遂等の情状をどの程度考慮すべきか、死刑の量刑判断の妥当性が問われた。
規範
死刑の適用については、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって罪刑の均衡、一般予防の見地からもやむを得ないと認められる場合に許される(永山判決の枠組みを踏襲)。
重要事実
被告人は、約半月の間にスナック等の女性経営者計4名を窒息死または失血死させて現金を強奪する等の強盗殺人等を相次いで敢行した。殺害態様は、頸部を強く絞め付けた上で刃物で突き刺すという確定的殺意に基づく冷酷かつ残忍なものであった。被告人には殺人および強盗致傷の前科があり、前刑出所後わずか2ヶ月で本件に及んでいる。一方で、強盗殺人未遂において自己の意思で殺害を中止した点や、不遇な成育歴といった被告人に有利な事情も存在した。
あてはめ
まず、4名の尊い生命を奪った結果は極めて重大であり、頸部を絞めた上で刺突するという態様は冷酷・非情・残忍である。次に、動機に酌むべき点はなく、前科関係から凶悪犯罪に及ぶ傾向が顕著で再犯の危険性も高い。さらに、社会に与えた衝撃や遺族の厳しい被害感情も無視できない。これらの犯情に照らせば、中止未遂の存在や不遇な成育歴等の有利な事情を十分に考慮したとしても、被告人の刑事責任は極めて重大であり、罪刑の均衡を失するものとはいえない。
事件番号: 平成9(あ)614 / 裁判年月日: 平成13年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人罪で無期懲役の服役後、仮出獄中に再び同様の動機・態様で強盗殺人等を犯した事案において、非社会性人格障害等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。性格的な偏りとしての精神障害は、当然には刑事責任を軽減させる事情とはならない。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、…
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、原判決が維持した第一審の死刑判決は、最高裁判所としても是認せざるを得ない。
実務上の射程
多数の被害者(本件では4名)を出した連続強盗殺人事件において、死刑回避の事情(成育歴や中止未遂)があったとしても、犯行の残虐性と再犯傾向が強い場合には死刑が正当化されることを示した事例。実務上は、死刑選択の際に「永山基準」の各要素をどのように相関的に評価すべきかの具体的指標となる。
事件番号: 平成17(あ)1823 / 裁判年月日: 平成20年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑に際しては、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合考慮すべきであり、本件の残虐性や強固な殺意に鑑みれば死刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、同棲相手の娘(12歳)と口論になり、憎しみを爆発させて包丁と紐で殺害。そ…
事件番号: 平成13(あ)1667 / 裁判年月日: 平成17年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑を決定するに際しては、犯行の罪質、動機、計画性、殺害方法の残虐性、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮すべきである。本件のように、2名の命を奪い、主導的立場で計画的かつ極めて残虐な犯行に及んだ場合には、反省や遺族への金銭支払等の事情があっ…
事件番号: 平成21(あ)2078 / 裁判年月日: 平成24年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない。死刑の適用については、殺害自体が計画的でないことや自首・反省等の事情を考慮しても、犯行の残虐性、結果の重大性、前科等の事情に照らし、刑事責任が極めて重大な場合には是認される。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、路上で留学生からバッグを強奪し…
事件番号: 平成13(あ)963 / 裁判年月日: 平成16年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、特に殺意の強固さや結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、刑事責任が極めて重大であって、罪刑均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。本件では、被告人が計画の中核を担い、信頼関係を悪用して2名を惨殺した強盗殺人の態様を重くみて、死刑…