相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)55条に基づく申告の後にされた増額更正処分の取消訴訟において,個々の財産につき上記申告とは異なる価額を認定した上で,その結果算出される税額が上記申告に係る税額を下回るとの理由により当該処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額や評価方法を用いて税額等を計算すべき義務を負うことはない。
相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)55条に基づく申告の後にされた増額更正処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか
相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)32条1号,相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)35条3項1号,相続税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)55条,行政事件訴訟法33条1項
判旨
遺産分割等に伴う更正の請求(相続税法32条1号)及び更正(35条3項1号)において、課税庁は除斥期間経過後には当初申告における個々の財産の評価の誤りを是正することはできず、増額更正処分取消訴訟の確定判決による事実認定や評価方法に拘束されてこれを用いる義務も負わない。
問題の所在(論点)
未分割申告後の遺産分割を理由とする更正の請求(相続税法32条1号)及び更正(35条3項1号)において、課税庁は、除斥期間経過後に、別件の増額更正処分取消訴訟で確定した財産評価額や評価方法を用いて税額を計算すべき義務を負うか。
規範
相続税法32条1号及び35条3項1号は、未分割申告後に遺産分割が行われたという後発的事由に基づき、相続人間で税負担の再調整を図る特則である。その趣旨から、同規定に基づく手続では当該後発的事由以外の事由を主張できず、一旦確定した算定基礎である財産評価の誤りを是正することはできない。また、行政事件訴訟法33条1項の拘束力は法令上の権限の範囲内に限られるため、除斥期間経過により評価是正の権限を欠く場合、課税庁は確定判決の認定した評価額を用いる義務を負わない。
事件番号: 令和2(行ヒ)283 / 裁判年月日: 令和4年4月19日 / 結論: 棄却
1 相続税の課税価格に算入される財産の価額について、財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、当該財産の価額を上記通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。 2 相続税の…
重要事実
被相続人の死亡に伴い、共同相続人らは遺産分割未了のため法定相続分に従い相続税を申告した。その後、税務署長が株式の評価額を増額する更正処分を行ったが、取消訴訟の結果、株式評価額は当初申告額をも下回ると認定され、増額分を取り消す判決が確定した。その後、遺産分割調停が成立したため、相続人の一人が確定判決の評価額に基づき更正の請求をしたが、税務署長は当初申告の評価額を維持したまま、分割内容を反映した増額更正処分等を行った。
あてはめ
相続税法32条1号等の手続は遺産分割という後発的事由に対応するものであり、当初申告時の評価の誤りを是正する手段ではない。本件更正処分等の時点で国税通則法所定の除斥期間が経過していた以上、課税庁には評価の誤りを是正する法令上の権限がない。したがって、前訴判決において当初申告額を下回る評価額が認定されていたとしても、課税庁はその評価額を用いる義務を負わず、当初申告時の評価額を基礎として計算した本件更正処分等は適法といえる。
結論
課税庁は、除斥期間経過後の更正等において、確定判決に示された評価方法等を用いる義務を負わないため、当初申告の価額を用いた本件更正処分は適法である。
実務上の射程
後発的更正手続(相税32条等)の対象が「分割による取得割合の変動」に限定されることを明確にした。当初申告の評価自体に不服がある場合は、通常の更正の請求期間内に争う必要があり、遺産分割を奇貨として評価の誤りを是正することはできないという実務上の限界を示している。
事件番号: 平成21(行ヒ)65 / 裁判年月日: 平成22年10月15日 / 結論: 棄却
被相続人が所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分に基づき所得税,過少申告加算税及び延滞税を納付するとともに上記各処分の取消訴訟を提起していたところ,その係属中に被相続人が死亡したため相続人が同訴訟を承継し,上記各処分の取消判決が確定するに至ったときは,上記所得税等に係る過納金の還付請求権は,被相続人の相続財産を構…
事件番号: 昭和60(行ツ)125 / 裁判年月日: 昭和62年10月30日 / 結論: 破棄差戻
租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁…
事件番号: 平成17(行ヒ)91 / 裁判年月日: 平成19年1月23日 / 結論: その他
被相続人の居住の用に供されていたが土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い相続開始の直前には更地となっていた土地につき,(1)仮換地の指定がされ上記土地及びその仮換地の使用収益が共に禁止されたことにより,被相続人が仮設住宅への転居及び上記土地上の居宅の取壊しを余儀なくされたこと,(2)その後,上記仮換地について使用収…