刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たらない。 (補足意見がある。)
刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たるか
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項
判旨
被収容者が刑事施設での収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、行政機関個人情報保護法45条1項所定の「刑事事件に係る裁判、刑の執行等に係る保有個人情報」には当たらない。したがって、同法12条1項に基づく開示請求の対象となる。
問題の所在(論点)
行政機関個人情報保護法45条1項により開示請求の対象から除外される「刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判……刑若しくは保護処分の執行……に係る保有個人情報」に、被収容者が収容中に受けた診療に関する情報が含まれるか。
規範
行政機関個人情報保護法45条1項が、刑事裁判・刑の執行等に係る情報を開示請求等の対象外とした趣旨は、前科・収容歴等が第三者に知られ本人の社会復帰を妨げる弊害を防止することにある。これに対し、診療関係情報は、インフォームド・コンセントの理念に基づき開示の範囲を広げるべき性質のものである。被収容者が受ける診療も、医療法・医師法が適用されるなど社会一般の診療と性質を異にするものではない。したがって、被収容者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、同項所定の除外事由に当たらないと解するのが相当である。
重要事実
未決拘禁者として東京拘置所に収容されていた上告人が、行政機関個人情報保護法に基づき、収容中に受けた診療の診療録(本件情報)の開示を請求した。これに対し、東京矯正管区長は、本件情報が同法45条1項の「刑事事件に係る裁判……又は刑の執行……に係る保有個人情報」に該当し、開示請求の対象から除外されているとして、全部不開示決定(本件決定)を行った。上告人が本件決定の取消し等を求めて提訴したところ、原審は、被収容者への診療は処遇の一環であり刑事裁判に必然的に付随するとして不開示を適法としたため、上告人が上告した。
事件番号: 令和4(行ヒ)296 / 裁判年月日: 令和5年10月26日 / 結論: 破棄自判
矯正管区長が、刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(令和3年法律第37号による廃止前のもの)45条1項所定の保有個人情報に当たるとの見解に立脚し、その全部を開示しない旨の決定をした場合において、上記決定当時、公表されていた裁判例や情報公…
あてはめ
(1)同法45条1項の趣旨は、前科等の情報が第三者に審査され社会復帰が妨げられることを防ぐ点にある。(2)一方、同法は診療関係情報を一般に開示対象としているが、これは患者の自己決定権や説明を受ける利益を重視したためである。(3)刑事施設内の診療も、刑事収容施設法に基づき社会一般の医療水準に照らし適切な措置が講じられ、医療法・医師法が適用される。このように、被収容者の診療の性質は一般社会の診療と異ならないから、刑事裁判等の付随作用として隠蔽すべき理由はない。以上より、本件情報は同項の除外事由に該当せず、同法12条1項の開示請求の対象となる。
結論
本件情報は同法45条1項所定の保有個人情報に当たらず、不開示とした原決定には法令の違反がある。原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
行政法における情報の不開示事由の解釈、特に適用除外規定(45条1項)の限定解釈を示す。診療情報の重要性とインフォームド・コンセントの理念を、刑事収容という特殊な文脈においても維持した点に意義がある。答案では、除外規定の趣旨(社会復帰の妨げ防止)と診療情報の性質(一般診療との共通性)を対比させて論述する。
事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)を代表する者又はこれに準ずる地位にある者がその職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 …
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 令和2(行ヒ)340 / 裁判年月日: 令和4年5月17日 / 結論: その他
預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報について、当該情報を公にすることにより、消費者庁長官等が上記各法律の執行に係る判断をするに当たり、いかなる事実関係をいかなる手法により調査し、調査により把握した事実関係のうちいかな…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…