県知事が管弦楽団による演奏会に出席したことは,県がその事業の一環として当該演奏会を共催したものであるなど判示の事情の下では,公務に該当する。
県知事が管弦楽団による演奏会に出席したことが公務に該当するとされた事例
地方自治法1条の2第1項
判旨
県が共催する文化振興事業への知事の出席は、住民の福祉増進を図る県の文化振興政策に基づくものであり、県の事務(公務)に該当する。したがって、その出席のために公用車を使用することは、不法行為上の違法を構成しない。
問題の所在(論点)
県の事務として開催された文化行事において、知事が挨拶等の具体的な対外的活動を行わずに単に出席・鑑賞した場合であっても、その出席は「公務」に該当し、公用車の使用は適法となるか。
規範
地方公共団体の長が公用車を使用することの適法性は、その目的である行事への出席が、当該団体の「事務」(地方自治法1条の2第1項、149条等)を執行・管理する「公務」に該当するか否かによって判断される。具体的には、当該行事が住民の福祉の増進を図るための当該団体の政策に基づくものと評価でき、県の事務の範囲に含まれる場合には、長による出席は原則として公務に該当する。
重要事実
徳島県は、文化振興を目的として設立された管弦楽団の事業を財団に委託し、県内各地で演奏会を開催していた。県知事Aは、県が共催した本件演奏会に公用車で出席したが、会場での挨拶や特定関係者との意見交換は行わなかった。住民である被上告人は、挨拶等の具体的な事務遂行を伴わない出席は公務にあたらず、公用車使用にかかる燃料費や人件費相当額の損害を県に与えたと主張して、県知事に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実の違法確認を求めて住民訴訟を提起した。
あてはめ
本件演奏会は、県が文化振興政策の一環として設立した管弦楽団による事業であり、県自身が共催者となっている。このような行事は、住民の福祉の増進を図り、地域行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う県の事務そのものである。県を統轄し代表する知事が、自ら共催する事務としての演奏会に出席することは、たとえ会場での挨拶や特段の折衝が行われていなくても、政策の実施状況を確認し公務を遂行する行為として「公務」に該当する。したがって、公用規則が定める「公用以外の目的」での使用にはあたらず、違法性は認められない。
結論
県知事の本件演奏会への出席は公務に該当し、公用車使用は適法である。したがって、県は知事に対して損害賠償請求権を有さず、その行使を怠る事実も違法ではない。
実務上の射程
首長の公務の範囲を比較的広く捉える判例である。式典での挨拶や具体的交渉といった「目に見える活動」がない場合でも、当該行事が自治体の事務(政策)に位置づけられるものであれば公務性を肯定できる。答案上では、公用車使用の違法性を検討する際の「公務」の意義として、自治体の事務権限との関連性から論証する際に活用すべきである。
事件番号: 平成11(行ツ)93 / 裁判年月日: 平成14年7月11日 / 結論: 棄却
知事が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式であること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…
事件番号: 昭和58(行ツ)149 / 裁判年月日: 昭和63年3月10日 / 結論: その他
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の議決機関としての機能を適切に果たすために合理的な必要性があるときは、その裁量により議員を海外に派遣することができる。
事件番号: 昭和62(行ツ)22 / 裁判年月日: 平成2年4月12日 / 結論: 破棄自判
保安林内の市有地に市道を建設するに際し、市建設局長らが請負人をして道路建設工事をさせる旨の工事施行決定書に決裁をしてこれに関与した行為は、道路整備計画の円滑な遂行・実現を図るという道路建設行政の見地からする道路行政担当者としての行為(判断)であつて、住民訴訟の対象となる財産管理行為には当たらない。