道路法施行法五条一項に基づく使用貸借による権利は、地方自治法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」に当たらない。
道路法施行法五条一項に基づく使用貸借による権利と地方自治法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」
道路法施行法5条1項,民法593条,地方自治法238条1項4号,地方自治法242条1項,地方自治法242条の2第1項
判旨
道路法施行法5条1項に基づく道路敷地の使用貸借による権利は、地方自治法238条1項4号に規定される「財産」には当たらない。
問題の所在(論点)
道路法施行法5条1項に基づく道路敷地の使用貸借による権利が、地方自治法242条1項及び242条の2第1項に規定される住民訴訟の対象たる「財産」(公有財産)に含まれるか。
規範
地方自治法242条1項にいう「財産」の管理を怠る事実の対象となる財産とは、同法238条1項に列挙された公有財産を指す。同項4号に掲げる「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」は、性質上、私法上の権利として把握可能な財産的価値を有する権利を意味する。
重要事実
上告人らは、地方公共団体が道路として使用している土地の敷地利用権を適切に管理・行使していないとして、住民監査請求を経て住民訴訟を提起した。当該道路敷地を使用する権利は、道路法施行法5条1項の規定に基づき、従前の慣習等に従って認められた使用貸借による権利であった。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…
あてはめ
本件で使用されている道路敷地の権利は、道路法施行法5条1項に基づく「使用貸借による権利」である。この権利は、法的に不安定な地位にある従前の道路敷地利用を暫定的に保護する行政法上の特別な定めに由来するものであり、地方自治法238条1項4号が例示する「地上権、地役権、鉱業権」のように、独立して取引の対象となり得る財産的価値を持つ私法上の権利、または「これらに準ずる権利」とは認められない。したがって、同号にいう「財産」には当たらないと解される。
結論
本件の使用貸借による権利は住民訴訟の対象となる「財産」に含まれないため、これに関する管理を怠る事実を対象とする訴えは不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
地方自治法上の「財産」の定義を、同法238条1項の限定列挙に基づいて厳格に解釈する際の根拠となる。住民訴訟における「財産の管理を怠る事実」を主張する場合、対象となる権利が同条に掲げる公有財産のいずれかに該当することを具体的に特定する必要がある。
事件番号: 昭和41(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
事件番号: 平成19(行ツ)334 / 裁判年月日: 平成22年1月20日 / 結論: 棄却
市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,憲法20条3項,89条に違反しない。 (1) 上記神社施設は明らかに神道の神社施設であり,そこでは神道の方式にのっとった宗教的行事が行われており,上記のような市有地の提供行為をそのまま…
事件番号: 平成19(行ツ)260 / 裁判年月日: 平成22年1月20日 / 結論: 破棄差戻
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で建物(地域の集会場等であるが,その内部に祠が設置され,外壁に神社の表示が設けられている。),鳥居及び地神宮の敷地としての利用に供している行為は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記行為がもともとは小学校敷地の拡張に協力した地元住民に報いるという世俗的,公共的な目的から始ま…