特別区選挙管理委員会による特別区議会議員選挙に係る当選人甲の当選無効の決定の取消しを求める請求及び都選挙管理委員会による同決定に対する審査の申立てを棄却するとの裁決の取消しを求める請求と,当選人乙の当選無効を求める請求とでは,訴えで主張する利益が共通であるとはいえない。
特別区議会議員選挙に係る当選人甲の当選無効の決定の取消しを求める請求及び同決定に対する審査の申立てを棄却するとの裁決の取消しを求める請求と当選人乙の当選無効を求める請求とでは訴えで主張する利益が共通であるとはいえないとされた事例
民事訴訟費用等に関する法律4条1項,民訴法9条1項,公職選挙法207条
判旨
一の訴えで、自身の当選無効を内容とする裁決・決定の取消し(請求1・2)と、他者の当選無効(請求3)を併せて求める場合、これらは主張する利益が共通であるとはいえず、訴訟の目的の価額を合算して手数料を算出すべきである。
問題の所在(論点)
自身の当選無効を争う請求(請求1・2)と、他の当選人の当選無効を求める請求(請求3)を併せて行う場合、これらは「主張する利益が共通である場合」として訴訟の目的の価額を合算せずに算定できるか。
規範
訴え提起の手数料の算出基礎となる訴訟の目的の価額に関し、財産権上の請求でない請求は160万円とみなされる(民事訴訟費用等に関する法律4条2項等)。一の訴えで数個の請求をする場合、各請求の価額を合算するのが原則であるが、訴えで主張する利益が各請求について共通である場合には、合算をしない(同法4条1項、民事訴訟法9条1項)。この「利益が共通」か否かは、各請求が認容されることによって実現される状態が同一であるかによって判断すべきである。
重要事実
抗告人(当選人とされた者)は、被選挙権の要件を欠くとして当選を無効とする決定を受けた。これに対し、①東京都選挙管理委員会による棄却裁決の取消し(請求1)、②当選無効決定の取消し(請求2)、および③別の当選人Aの当選無効(請求3)を求める訴えを提起した。抗告人は、本案訴訟の手数料につき、これら全ての請求の利益が共通であるとして合算を否定し、価額を160万円(手数料1万3000円)として差額の還付を申し立てた。
事件番号: 平成26(許)36 / 裁判年月日: 平成27年5月19日 / 結論: 破棄自判
労働基準法114条の付加金の請求については,同条所定の未払金の請求に係る訴訟において同請求とともにされるときは,民訴法9条2項にいう訴訟の附帯の目的である損害賠償又は違約金の請求に含まれるものとして,その価額は当該訴訟の目的の価額に算入されない。
あてはめ
請求1及び2は、いずれも抗告人の当選を無効とする決定の効力を失わせることを目的とするものである。これに対し、請求3は、抗告人とは別の当選人であるAの当選を無効とすることを目的とするものである。したがって、請求1・2が認容されて実現される状態(抗告人の当選有効)と、請求3が認容されて実現される状態(Aの当選無効)は明らかに異なる。ゆえに、請求1・2と請求3との間には、訴えで主張する利益の共通性は認められない。以上より、本案訴訟の目的の価額は、請求1・2に係る160万円と、請求3に係る160万円を合算した320万円(手数料2万1000円)となる。
結論
請求1・2と請求3は主張する利益が共通ではないため、価額を合算して算出された手数料は適法であり、還付申立ては却下される。
実務上の射程
選挙訴訟において、自身の地位回復を図る訴えと他者の地位を否定する訴えを併合提起する場合の印紙代算定の基準を明確にした。
事件番号: 平成12(行フ)1 / 裁判年月日: 平成12年10月13日 / 結論: 棄却
森林法一〇条の二に基づく林地開発行為の許可処分につき、許可区域周辺に居住する多数の原告が、右開発行為により、同区域周辺の水質の悪化、水量の変化、大気汚染、その他の環境悪化を生じ、原告らの水利権、人格権、不動産所有権等が害されるおそれがあるところ、右処分には同条二項所定の不許可事由があるのにされた違法があるなどと主張して…
事件番号: 平成16(行フ)5 / 裁判年月日: 平成17年3月29日 / 結論: 破棄自判
同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している同一人所有の複数の建物について,固定資産課税台帳に登録された同一年度の価格につき需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとしてされた審査の申出を棄却する固定資産評価審査委員会の決定のうち,所有者が各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める各…
事件番号: 令和5(許)1 / 裁判年月日: 令和5年10月19日 / 結論: 破棄差戻
1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額に限られる。 2 共同して訴えを提起した各原告…
事件番号: 平成26(許)19 / 裁判年月日: 平成26年11月27日 / 結論: 棄却
当事者が準備書面の直送をするためにした支出については,民事訴訟費用等に関する法律2条2号の規定は類推適用されない。