労働基準法114条の付加金の請求については,同条所定の未払金の請求に係る訴訟において同請求とともにされるときは,民訴法9条2項にいう訴訟の附帯の目的である損害賠償又は違約金の請求に含まれるものとして,その価額は当該訴訟の目的の価額に算入されない。
労働基準法114条の付加金の請求の価額は,同条所定の未払金の請求に係る訴訟の目的の価額に算入されるか
民事訴訟費用等に関する法律3条1項,民事訴訟費用等に関する法律4条1項,民事訴訟費用等に関する法律別表第1第5項,民訴法9条2項,労働基準法114条
判旨
労働基準法114条の付加金の請求は、その未払金の請求とともにされる場合、民訴法9条2項にいう「訴訟の附帯の目的である損害賠償又は違約金」に含まれ、訴訟の目的の価額に算入されない。
問題の所在(論点)
労働基準法114条に基づく付加金の請求を未払金等の主たる請求とともに行う場合、当該付加金請求の価額は、民訴法9条2項にいう「附帯の目的」である損害賠償等として、訴訟の目的の価額に算入されるか。
規範
民訴法9条2項が附帯請求を合算しない趣旨は、主たる請求と審理判断の基礎を共通にすることから、算定基準を簡明にする点にある。労働基準法114条の付加金は、使用者への制裁だけでなく、不履行による労働者の損害を填補する趣旨も併せ持つ。したがって、未払金請求と共になされる付加金請求は、同項の「損害賠償又は違約金」に準じるものとして、訴訟の目的の価額に算入されない。
重要事実
抗告人は、使用者に対し雇用契約上の地位確認等を求める訴訟において、労働基準法26条の休業手当および同法114条の付加金の請求を追加する訴えの変更を行った。その際、付加金請求分に係る手数料4万8000円を納付したが、後に付加金の価額は民訴法9条2項により算入されないはずであるとして、民事訴訟費用等に関する法律9条1項に基づき手数料の還付を申し立てた。
事件番号: 令和2(行フ)2 / 裁判年月日: 令和3年4月27日 / 結論: 棄却
特別区選挙管理委員会による特別区議会議員選挙に係る当選人甲の当選無効の決定の取消しを求める請求及び都選挙管理委員会による同決定に対する審査の申立てを棄却するとの裁決の取消しを求める請求と,当選人乙の当選無効を求める請求とでは,訴えで主張する利益が共通であるとはいえない。
あてはめ
付加金の支払命令の当否は、未払金の存否を前提に同一手続で付随的に判断される。また、付加金は労働者の損害填補の趣旨も有する。本件では、抗告人は休業手当という主たる請求とともに付加金を請求しており、審理判断の基礎が共通であるため、民訴法9条2項の趣旨が妥当する。ゆえに付加金分を合算して手数料を算定したことは誤りであり、過大納付にあたる。
結論
本件付加金請求の価額は訴訟の目的の価額に算入されない。したがって、手数料還付の申立ては認められるべきであり、4万8000円を還付する。
実務上の射程
労働事件における訴額算定の基準を明確化した実務上重要な判例。訴状貼付印紙代の計算において、付加金を算入しないという取り扱いを確定させた。司法試験においては、民事訴訟法の訴額算定や、附帯請求の意義を問う問題での引用が想定される。
事件番号: 平成26(許)19 / 裁判年月日: 平成26年11月27日 / 結論: 棄却
当事者が準備書面の直送をするためにした支出については,民事訴訟費用等に関する法律2条2号の規定は類推適用されない。
事件番号: 令和5(許)1 / 裁判年月日: 令和5年10月19日 / 結論: 破棄差戻
1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額に限られる。 2 共同して訴えを提起した各原告…
事件番号: 平成12(行フ)1 / 裁判年月日: 平成12年10月13日 / 結論: 棄却
森林法一〇条の二に基づく林地開発行為の許可処分につき、許可区域周辺に居住する多数の原告が、右開発行為により、同区域周辺の水質の悪化、水量の変化、大気汚染、その他の環境悪化を生じ、原告らの水利権、人格権、不動産所有権等が害されるおそれがあるところ、右処分には同条二項所定の不許可事由があるのにされた違法があるなどと主張して…
事件番号: 平成16(行フ)5 / 裁判年月日: 平成17年3月29日 / 結論: 破棄自判
同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している同一人所有の複数の建物について,固定資産課税台帳に登録された同一年度の価格につき需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとしてされた審査の申出を棄却する固定資産評価審査委員会の決定のうち,所有者が各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める各…