同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している同一人所有の複数の建物について,固定資産課税台帳に登録された同一年度の価格につき需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとしてされた審査の申出を棄却する固定資産評価審査委員会の決定のうち,所有者が各建物の適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求める各請求は,互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たる。
同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求が互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるとされた事例
行政事件訴訟法13条6号,行政事件訴訟法16条1項,民訴法9条1項
判旨
複数の固定資産の評価に関する審査決定の取消訴訟において、各請求の基礎となる社会的事実が一体で争点も同一であれば、行政事件訴訟法13条6号の関連請求に該当する。この場合、手数料の額は民事訴訟費用等に関する法律に基づき、各請求の利益を合算した額を基準に算定される。
問題の所在(論点)
同一所有者の複数の固定資産(建物)に係る固定資産評価審査決定の取消請求が、行政事件訴訟法13条6号の「関連請求」に該当するか。また、それにより訴訟上の手数料の算定方法がどう変わるか。
規範
1. 固定資産評価審査委員会の審査決定は、個々の固定資産ごとにされるものであり、1通の決定書で複数の固定資産について判断している場合でも、決定の個数は当該固定資産の数だけ存在する。 2. もっとも、各請求の基礎となる社会的事実が一体として捉えられるべきものであって密接に関連し、かつ争点も同一である場合には、行政事件訴訟法13条6号所定の「関連請求」に当たる。
重要事実
抗告人は、同一の敷地内で一つのリゾートホテルを構成する21の建物(本件各建物)につき、需給事情による減点補正がなされていないとして審査申出をしたが、棄却決定を受けた。抗告人は21の建物に関する決定の取消しを求め、各建物の主張利益を合算した額を訴訟の目的の価額として手数料(印紙代)を納付した。これに対し、裁判長は各請求は関連請求に当たらないとして建物ごとの算定を命じ、不足分が納付されないことを理由に訴状の一部を却下した。
事件番号: 平成12(行フ)1 / 裁判年月日: 平成12年10月13日 / 結論: 棄却
森林法一〇条の二に基づく林地開発行為の許可処分につき、許可区域周辺に居住する多数の原告が、右開発行為により、同区域周辺の水質の悪化、水量の変化、大気汚染、その他の環境悪化を生じ、原告らの水利権、人格権、不動産所有権等が害されるおそれがあるところ、右処分には同条二項所定の不許可事由があるのにされた違法があるなどと主張して…
あてはめ
本件では、21の建物は同一敷地内で一つのリゾートホテルを構成しており、同一年度の登録価格につき「需給事情による減点補正の欠如」という同一の違法事由を争点としている。このような場合、各請求の基礎となる社会的事実は一体として捉えられるべき密接な関連があり、争点も同一であるといえる。したがって、これらは行政事件訴訟法13条6号の関連請求に該当し、併合して提起することが可能である。この解釈は審理の重複や矛盾を避け、訴訟の迅速な解決と当事者の負担軽減に資する。関連請求に当たる以上、手数料は各請求の利益を合算した価額を基礎に算定すべきであり、抗告人が納付した金額に不足はなかったといえる。
結論
本件各建物に係る訴えは関連請求に該当するため、手数料の不足を理由とする訴状一部却下命令は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
固定資産税の評価額争訟において、複数の物件をまとめて争う際の訴額・手数料算定の指針となる。実務上は「社会的事実の一体性」と「争点の共通性」を主張の柱とする。また、複数の行政処分が対象であっても、実質的に一体の紛争であれば併合提起による手数料軽減の道を示す重要な判例である。
事件番号: 令和5(許)9 / 裁判年月日: 令和5年10月6日 / 結論: 破棄差戻
1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部…
事件番号: 令和5(許)1 / 裁判年月日: 令和5年10月19日 / 結論: 破棄差戻
1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額に限られる。 2 共同して訴えを提起した各原告…
事件番号: 平成23(許)13 / 裁判年月日: 平成23年5月30日 / 結論: 破棄自判
民訴法38条後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
事件番号: 令和2(行フ)2 / 裁判年月日: 令和3年4月27日 / 結論: 棄却
特別区選挙管理委員会による特別区議会議員選挙に係る当選人甲の当選無効の決定の取消しを求める請求及び都選挙管理委員会による同決定に対する審査の申立てを棄却するとの裁決の取消しを求める請求と,当選人乙の当選無効を求める請求とでは,訴えで主張する利益が共通であるとはいえない。