父母以外の第三者は,事実上子を監護してきた者であっても,家庭裁判所に対し,家事事件手続法別表第2の3の項所定の子の監護に関する処分として子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることはできない。
父母以外の第三者で事実上子を監護してきたものが子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることの許否
民法766条,家事事件手続法39条,家事事件手続法別表第2の3の項
判旨
民法766条2項に基づく子の監護者指定の申立ては、同条1項の協議主体である父母に限定される。事実上子を監護してきた祖父母等の第三者は、監護の事実や子の利益を理由としても、同条の(類推)適用により当該申立てを行うことはできない。
問題の所在(論点)
民法766条の適用又は類推適用により、父母以外の第三者(事実上の監護者である祖父母等)に、子の監護に関する処分(監護者指定)の申立人適格が認められるか。
規範
民法766条2項は、1項の協議主体である父母の申立てにより、家裁が子の監護事項を定めることを予定している。法令上、事実上の監護者たる第三者に申立権を認める規定はなく、監護の事実をもって第三者を父母と同視することもできない。子の利益(同条1項後段)は判断上の最優先考慮事項ではあるが、申立人適格を基礎付ける根拠にはならない。したがって、父母以外の第三者は、事実上子を監護していても、監護者指定の審判を申し立てることはできない。
重要事実
実母Y1と前夫との間に生まれた本件子は、離婚後、Y1と共に祖母(相手方)宅で同居し、相手方の監護を受けてきた。その後、Y1は養親となるY2と再婚して家を出たが、本件子は引き続き相手方が単独で監護していた。相手方は、自らを監護者と定めるよう家裁に審判を申し立てた。原審は、民法766条1項の法意に照らし、事実上の監護者である祖母にも申立権があるとしていた。
事件番号: 令和2(許)4 / 裁判年月日: 令和3年3月29日 / 結論: 破棄自判
父母以外の第三者は,事実上子を監護してきた者であっても,家庭裁判所に対し,家事事件手続法別表第2の3の項所定の子の監護に関する処分として上記第三者と子との面会交流について定める審判を申し立てることはできない。
あてはめ
民法766条1項前段が「父母が協議」すべきものとし、同2項が協議不能時の家裁の決定を定めていることから、申立人は父母に限定されると解される。本件において、相手方は本件子を長年事実上監護してきた祖母であるが、法律上の「父母」には当たらない。したがって、相手方は同条に基づく監護者指定の申立てを行う適格を欠いており、その申立ては不適法である。
結論
父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護者指定の審判を申し立てることはできない。
実務上の射程
子の監護に関する審判(民法766条、家事事件手続法別表第2の3項)の申立人適格を父母に限定した重要な判例である。答案上は、子の利益を重視して第三者の申立権を広く認める余地を否定し、条文の文言および構造から厳格に解釈する姿勢を示す際に用いる。第三者が監護を求める場合は、未成年後見人選任申立て等の別手続を検討すべきことを示唆する。
事件番号: 平成25(許)26 / 裁判年月日: 平成26年4月14日 / 結論: 破棄自判
戸籍事務管掌者は,親権者変更の確定審判に基づく戸籍の届出について,当該審判が無効であるためその判断内容に係る効力が生じない場合を除き,当該審判の法令違反を理由に上記届出を不受理とする処分をすることができない。
事件番号: 昭和59(ク)112 / 裁判年月日: 昭和59年12月20日 / 結論: 棄却
家事審判法九条一項乙類四号所定の子の監護に関する処分にかかる審判についての規定は、憲法三二条、八二条に違反しない。
事件番号: 平成29(許)17 / 裁判年月日: 平成29年12月5日 / 結論: 棄却
離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることは,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,権利の濫用に当たる。 (1) 子が7歳であり,母は,父と別居してから4年以上,単独で子の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が子の…
事件番号: 昭和26(ク)198 / 裁判年月日: 昭和26年10月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする抗告(現行民事訴訟法336条相当)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は原決定における憲法判…