補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとして各省各庁の長から権限の委任を受けた機関により補助事業者等に対してされた補助金相当額の納付を条件とする間接補助事業等により取得された財産の処分の承認は,次の⑴~⑶など判示の事情の下では,補助事業者等は間接補助事業者等に対し事業により取得した財産の処分についての承認をしようとするときはあらかじめ上記機関の承認を受けなければならない旨の同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法である。 ⑴ 同法22条に基づく承認は,これを得ることなく補助事業等により取得された財産が処分され,補助事業者等により補助金等の交付の目的に沿って使用されなくなる事態に至ることを防止することを目的とするところ,同法7条3項による上記条件に基づく承認も,これを得ることなく補助金の交付の目的が達成し得なくなる事態に至ることを防止することを目的とする。 ⑵ 同法22条に基づく承認を得た上での財産の処分であれば,同法17条1項により補助金等の交付の決定が取り消されることはないのと同様に,同法7条3項による上記条件に基づく承認を得た上での財産の処分も,これにより補助金の交付の決定が取り消されることはない上,同法22条に基づく承認に際しては,補助事業者等において補助金等の全部又は一部に相当する金額を納付する旨の条件を附すことができるのと同様に,同法7条3項による上記条件に基づく承認に際しても,補助事業者等において交付された補助金の範囲内の金額を納付する旨の条件を附すことができる。 ⑶ 同法22条に基づくものとして上記の財産の処分の承認をした機関において,仮に同条に基づき当該承認をすることができないという認識であった場合に,同法7条3項による上記条件に基づき承認をしなかったであろうことをうかがわせる事情は見当たらない。 (補足意見がある。)
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律7条3項,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条
判旨
行政庁が根拠法条を誤って行った承認について、本来の根拠法条に基づく承認と目的を共通にし、相手方に不利益をもたらさず、かつ本来の根拠で行われたであろうと認められる場合には、適法な行政行為への転換が認められる。
問題の所在(論点)
行政庁が本来根拠とすべき法条(適正化法7条3項の付款)ではなく、適用対象外の法条(同法22条)に基づき承認を行った場合、当該承認及び附款を適法なものとして維持できるか。いわゆる「行政行為の転換」の可否が問題となる。
規範
行政行為の瑕疵(根拠法条の誤り)がある場合でも、以下の要件を満たすときは、適法な行政行為への転換が認められる。①転換前後の行政行為がその目的を共通にすること、②転換後の法効果が転換前のものより相手方に不利益に働かないこと、③瑕疵を知っていれば転換後の行政行為を行ったであろうと認められること。
重要事実
交付事業者である県に対し、国が補助金交付決定に際し「財産処分には国の承認を要する」との付款(適正化法7条3項)を付した。その後、間接補助事業者(民間企業)が補助金で整備した施設に抵当権を設定し、競売に至った。県は国に対し、同法22条(補助事業者への規定)を根拠として財産処分の承認を申請し、国は補助金相当額の返納を条件に承認した。県は返納後、同法22条は間接補助事業者に適用されないため承認及び返納条件は無効であるとして、不当利得返還を請求した。
あてはめ
まず、本件承認は施設の目的外使用を対象としており、法7条3項の付款に基づく承認と目的を共通にする(①充足)。次に、法22条に基づく承認と法7条3項の付款に基づく承認は、いずれも承認を得なければ交付決定が取り消され得るという関係にあり、補助金の範囲内での返納条件を付すことも同様に可能であるから、県に不利益はない(②充足)。さらに、双方が法22条の適用不可を知っていれば、当然に法7条3項の付款に基づき申請・承認を行ったと推認できる(③充足)。したがって、本件承認は法7条3項の付款に基づくものとして適法に転換される。
結論
本件承認は適法な行政行為として維持され、これに付された返納条件(本件附款)も有効である。したがって、県による返納は法律上の原因に基づくものであり、不当利得返還請求は認められない。
実務上の射程
司法試験においては、行政行為の瑕疵の治癒と並んで、瑕疵ある行政行為の維持を正当化する理論として「転換」を論じる際に用いる。特に、処分の同一性を損なわない範囲で、相手方の信頼を保護しつつ行政目的を達成すべき事案で有効である。ただし、宇賀補足意見が指摘するように、第三者の利益を害する場合や行政手続の趣旨を没却する場合は慎重な検討を要する点に留意する。
事件番号: 平成22(受)1784 / 裁判年月日: 平成23年7月7日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該…
事件番号: 平成22(受)798 / 裁判年月日: 平成23年3月1日 / 結論: その他
届出のない再生債権である過払金返還請求権について,請求があれば再生債権の確定を行った上で,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定める再生計画の認可決定が確定することにより,上記過払金返還請求権は,再生計画による権利の変更の一般的基準に従い変更され,その再生債権者は,訴訟等において過払金返還請求権を有していたこと…
事件番号: 昭和62(オ)1057 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 破棄自判
債権者が第三者所有の不動産の上に設定を受けた抵当権が不存在である.にもかかわらず、右抵当権の実行により第三者が不動産の所有権を喪失したときは、第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた右債権者に対し不当利得返還請求権を有する。