届出のない再生債権である過払金返還請求権について,請求があれば再生債権の確定を行った上で,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定める再生計画の認可決定が確定することにより,上記過払金返還請求権は,再生計画による権利の変更の一般的基準に従い変更され,その再生債権者は,訴訟等において過払金返還請求権を有していたこと及びその額が確定されることを条件に,上記のとおり変更されたところに従って,その支払を受けられる。
届出のない再生債権である過払金返還請求権について,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定める再生計画と上記過払金返還請求権の帰すう
民事再生法181条1項1号
判旨
届出のない過払金返還請求権は、再生計画認可決定の確定により権利変更の一般的基準に従い変更され、訴訟等で債権額が確定されることを条件に、その確定時から再生計画所定の猶予期間を経過した時に弁済期が到来する。
問題の所在(論点)
届出のない過払金返還請求権について、再生計画認可決定の確定によって権利変更が生じるか。また、訴訟によって債権額を確定させる場合、その弁済期はいつ到来するか(将来給付の訴えの適否)。
規範
届出のない再生債権である過払金返還請求権について、再生計画が「請求に基づき確定した上で届出債権と同条件で弁済する」旨を定めている場合、同債権は民事再生法181条1項1号所定の債権として扱われる。この場合、再生計画認可決定の確定により権利の変更(債権カット等)が生じ、訴訟等により債権額が確定されることを条件として、その確定時から再生計画所定の猶予期間が経過した時に弁済期が到来する。
重要事実
貸金業者Aについて再生手続が開始され、届出のない過払金請求権につき「請求により債権が確定した時から3か月以内に、権利変更後の額を弁済する」旨の再生計画が認可・確定した。相続財産管理人である被上告人は、Aを吸収分割した上告人に対し、過払金(元利合計約31万円)につき再生計画に基づく変更後の権利(30万円)の支払を求めて提訴した。上告人は、再生計画所定の「確定から3か月」の猶予期間が経過していないため、弁済期が未到来であると主張した。
事件番号: 平成22(受)1405 / 裁判年月日: 平成23年7月8日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該…
あてはめ
本件再生計画は、届出のない過払金債権を法181条1項1号所定の債権として扱う趣旨と解される。したがって、認可決定の確定により、本件再生債権は計画の一般的基準に従い30万円に変更されている。弁済期については、計画上「確定した時から3か月以内」とされており、本件訴訟により債権額が確定することを条件としてその3か月後に到来することになる。本件口頭弁論終結時には未だ弁済期は到来していないが、事案の性質上、将来給付の訴えとしてあらかじめ請求する必要性が認められる。
結論
被上告人の請求は、本判決確定の日(債権確定時)の3か月後の日を期限とする支払を求める限度で認められる。
実務上の射程
再生計画で「届出のない過払金」の処理が定められている場合の権利消滅・変更の時期を明確にした。実務上、弁済期未到来であっても将来給付の訴え(民訴法135条)として請求を維持できる点に留意が必要である。
事件番号: 平成22(受)1983 / 裁判年月日: 平成25年4月11日 / 結論: 破棄差戻
継続的な金銭消費貸借取引に係る基本契約が過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む場合には,別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限り,まず過払金について発生した民法704条前段所定の利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過…
事件番号: 平成21(受)1192 / 裁判年月日: 平成21年9月4日 / 結論: 棄却
いわゆる過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合においても,悪意の受益者である貸主は過払金発生の時から民法704条前段所…
事件番号: 平成25(受)78 / 裁判年月日: 平成26年7月29日 / 結論: 破棄差戻
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることは…
事件番号: 平成18(受)276 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付してい…