元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはない。 (補足意見がある。)
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときの充当関係
民法488条
判旨
元利均等分割返済方式の貸金契約において、約定額を超過する支払がされた場合、特段の事情がない限り、当該超過額は支払時点の残債務に充当され、将来発生する債務(利息等)には充当されない。
問題の所在(論点)
約定分割返済額を超過して支払われた金員が、当然に将来発生する債務(将来の支払期日にかかる利息や元本)に充当され、将来の不履行による期限の利益喪失を回避し得るか。
規範
元利均等分割返済方式において借主が約定分割返済額を超過する額を支払った場合、当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り、当該超過額は、その支払時点での残債務(既発生の利息及び元本)に充当され、将来発生する債務に充当されることはない。
重要事実
貸金業者との間で元利均等分割返済方式(月額7万7000円等)による金銭消費貸借契約を締結した借主が、一部の月において約定額を超える支払を行った一方、その後の特定の支払期日(平成14年2月1日等)には支払を怠った。借主側は、過去の超過支払分が将来の支払分に充当されるため期限の利益を喪失していないと主張し、過払金の返還を求めた。
事件番号: 平成24(受)2832 / 裁判年月日: 平成26年7月24日 / 結論: 破棄差戻
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることは…
あてはめ
本件では、約定を超える支払があった際、それを将来の債務に充当するとの特段の合意の存否が審理されていない。超過額を当然に将来利息等へ前倒し充当すると解すれば、支払時点での元本充当による利息軽減の利益を借主が享受できず、かえって不利益となる場合もある。したがって、特段の事情がない限り、支払時点の残元本に充当されるべきであり、将来の支払期日にあてることはできない。
結論
超過支払額が将来債務に充当されるとの特段の事情がない限り、後の支払期日における不履行により期限の利益を喪失し、遅延損害金が発生し得る。
実務上の射程
過払金返還請求における期限の利益喪失の成否(遅延損害金適用の可否)が争点となる場面で、借主による「内入れ」的な過払いが将来の弁済期を猶予させる効果を持たないことを示す規範として活用する。
事件番号: 平成18(受)276 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付してい…
事件番号: 平成21(受)1192 / 裁判年月日: 平成21年9月4日 / 結論: 棄却
いわゆる過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合においても,悪意の受益者である貸主は過払金発生の時から民法704条前段所…
事件番号: 平成18(受)1666 / 裁判年月日: 平成19年7月17日 / 結論: その他
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,民法704条の「悪意の受…