1 被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例 2 誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例
判旨
地方公営企業の管理者が置かれている場合、その業務に関する訴えにおいて地方公共団体を代表するのは当該管理者であり、長に上級行政庁としての指揮監督権がない限り、不作為への審査請求も管理者にすべきである。
問題の所在(論点)
1.地方公営企業管理者が置かれている病院事業の業務に関する訴訟において、地方公共団体の代表権は誰に帰属するか。2.管理者の不作為に対する審査請求において、地方公共団体の長は「上級行政庁」に該当するか。
規範
地方公営企業法が全部適用され管理者が置かれている場合、地方公共団体の長は同法16条所定の指示権を有するにとどまり、業務執行に関する原則的な代表権は管理者に帰属する。また、行政不服審査法4条1号の「上級行政庁」にあたるか否かは、処分庁に対する一般的な指揮監督権の有無により判断されるが、地方公営企業の業務に関し長にその権限がない場合、管理者に上級行政庁は存在せず、審査請求先は不作為庁である管理者自身となる。
重要事実
兵庫県病院事業の管理者に対し、叔父の診療記録等の開示請求を行った被上告人が、管理者による不作為を理由に知事宛てに審査請求を行った。知事は裁決せず、管理者が審査請求を却下したため、被上告人は知事を代表者として上告人(兵庫県)を被告とし、裁決取消(請求1)、不作為違法確認(請求2)、義務付け(請求3)、国賠(請求4)を提起した。第一審は代表者等の不備を理由に却下したが、原審は代表者表記の誤りや審査請求先の誤認は一義的に明確でないとして第一審判決を取り消した。
あてはめ
1.病院事業の個人情報開示決定等は地方公営企業法8条1項の「業務の執行」に該当し、管理者が代表権を有する。被上告人は代表権のない知事を代表者として提訴し、補正命令にも応じていないため、請求1・4は不適法である。2.知事は同法16条の限定的な指示権を有するのみで、管理者の開示決定等に対し一般的指揮監督権を有しない。したがって、知事は管理者の上級行政庁ではなく、審査請求は管理者にすべきであった。請求2・3は知事に対する適法な「法令に基づく申請」を欠き、不適法である。
結論
本件訴えはいずれも不適法であり却下を免れない。原判決を破棄し、控訴を棄却する。
実務上の射程
地方公営企業が被告となる訴訟での代表者特定の重要性を示す。実務上、行政庁間の指揮監督関係の有無を地方公営企業法の個別規定に基づき厳格に判断し、行政事件訴訟の原告適格(申請権)や被告適格、不服申立先の正誤を検討する際の指標となる。
事件番号: 昭和25(オ)354 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
訴願裁決で農地買収計画を取り消した後に、裁決庁が自ら右訴願裁決を取り消すことは原則としてゆるされない。
事件番号: 昭和23(オ)166 / 裁判年月日: 昭和24年8月9日 / 結論: 棄却
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