宗教法人法第一四条による規則認証のための所轄庁の審査は、その審査事項につき証明書類が存するにしても、その証明事実の存否に理由ある疑をもつ場合には、その解明のために事実の調査をすることを妨げず、裁判所においても、証明書類中に証明に適切でないものあるいは証明事実の存否を疑うに足りる理由があると認めるのを相当とするものがあるときは、その存否を他の証拠をもつて認定することができる。
宗教法人法第一四条による規則認証のための審査の範囲
宗教法人法14条
判旨
宗教法人の規則認証に関する所轄庁の審査は、添附書類の形式的な記載のみならず、その真実性や実態についても及ぶ。また、違法な裁決により地位を失った者は、当該裁決を取り消すことで地位回復の途が生じ得るため、訴えの利益を有する。
問題の所在(論点)
1. 違法な裁決・処分により法人格が承継され地位を失った者に、当該裁決の取消しを求める訴えの利益があるか。 2. 宗教法人法14条に基づく所轄庁の規則認証審査の範囲は、形式的審査に限定されるか。
規範
宗教法人法14条1項に基づく所轄庁の審査は、単に形式的に証明文言の記載ある文書が調っているだけで足りるものではない。認証制度の趣旨が、宗教団体の実体を備えないものや法令に違背するものの法人格取得を抑止する点にある以上、添付書類が証明事実の真実性を首肯させるに足りる適切なものであるかを審査すべきであり、証明事実の虚偽が判明している場合や存否に合理的な疑いがある場合には、その実質的存否を審査することも権限の逸脱ではない。
重要事実
旧寺院Dの住職に任命されていた被上告人は、文部大臣(当時)による「新寺院Cの規則認証を拒否した知事処分を取り消す」旨の裁決に基づき、新Cが設立され旧Dが解散したことで住職の地位を失った。被上告人は、この裁決の取消しを求めて提訴した。これに対し上告人側は、(1)知事の認証処分に対する別訴が係属中であり訴えの利益がない、(2)認証審査は形式的書類審査に限られる、と主張して争った。
あてはめ
1. 本件裁決が取り消されれば、知事は認証処分を取り消し、拒否処分を復活させる義務を負う。これにより、新法人が解散し旧法人が存続する結果、被上告人がその地位を回復する途が生じるため、訴えの利益が認められる。また、法人格の異なる別訴の存在は本件訴えを無意義にするものではない。 2. 本件では、新Cの設立申請にかかる書類の真実性に疑いがあり、また申請者(前住職F)の代表権限自体が欠落していた。このような場合、所轄庁(およびその裁決庁)は書類の形式的具備を超えて実質的な事実関係を調査・認定することができ、不実の記載が判明した以上、認証を許容した裁決は違法といえる。
結論
被上告人には裁決の取消しを求める訴えの利益があり、また、所轄庁の実質的審査権限を認めた上で裁決を違法とした原審の判断は正当である。上告棄却。
実務上の射程
行政庁の審査権限が「形式的」か「実質的」かが争われる場面(特に宗教法人や学校法人の認証等)での引用が可能。また、法人の解散・承継が絡む場合の「訴えの利益」の有無に関する判断枠組みとしても機能する。事情判決(行訴法31条)の適用否定の事例としても参照し得る。
事件番号: 昭和40(行ツ)101 / 裁判年月日: 昭和46年10月28日 / 結論: 棄却
道路運送法三条二項三号に定める一般乗用旅客自動車運送事業である一人一車制の個人タクシー事業の免許にあたり、多数の申請人のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択してその免許申請の許否を決しようとするときには、同法六条の規定の趣旨にそう具体的審査基準を設定してこれを公正かつ合理的に適用すべく、右基準の内容が…
事件番号: 昭和38(オ)969 / 裁判年月日: 昭和41年4月15日 / 結論: 棄却
一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。 二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条により口頭弁論を経な…